2025年4月9日、ドナルド・トランプ元大統領が突然発表した「関税の90日間停止」。その一言で、世界経済は再び揺れ動いています。食品やデジタル製品の価格変動が注目されがちですが、実は「スニーカー」にも大きな影響が出ているのをご存知でしょうか?
今回は、アジアで生産されるNIKEスニーカーにどのようなコストがかかり、関税がどれだけ価格に影響するのかをわかりやすく解説します。👟

💸1足100ドルのスニーカー、製造コストはたったの25ドル!?
NIKEの元製造部門ディレクター、スティーブ・ベンス氏によれば、100ドル(約1万4600円)で売られているスニーカーの**製造コストはわずか25ドル(約3650円)**とのこと。この数字は「FOB(Free on Board)」、つまり製品が船に積み込まれるまでの全コストを指します。
✅【ポイント】FOB価格=製品を港まで運ぶまでの工場負担コスト
この時点では「関税」や「輸送費」などの追加コストは含まれていません。
🧾関税104%がかかるとどうなる?コストが跳ね上がる構図
仮に、25ドルのスニーカーに104%の関税が課された場合、関税だけで**26ドル(約3796円)**になります。つまり、アメリカに輸入された時点での「陸揚げ価格(LDP)」は51ドルに!
「それでも利益は出るのでは?」と考える方も多いかもしれませんが、実際にはさらに多くのコストが発生します。
🚚輸送費・保険・手数料も加わるとコストは27ドルに
スニーカーレビューサイト「Sole Review」によると、2016年のNIKEの決算資料を分析した結果、製造コスト22ドル+輸送・保険・関税=27ドルという試算が出されています。
さらに、NIKEが小売店にスニーカーを卸す際のマージン、Foot Lockerなどの小売業者の利益も含めて考えると、1足のスニーカーに残る利益はたったの5〜6ドル程度という試算もあります。
📈関税でスニーカーの価格が50%もアップ!?
ガイ氏が示した試算モデルでは、以下のような構図になります。
- NIKEが工場から25ドルで仕入れ
- 関税+輸送費などで追加28ドル(合計53ドル)
- Foot Lockerに75ドルで卸す
- Foot Lockerが150ドルで販売!
つまり、関税の影響で、100ドルだったスニーカーが150ドル(約2万1900円)にまで跳ね上がる可能性があるということです。💥
🇺🇸「海外生産=悪」とは限らない
「アジアで作っているからアメリカの雇用が失われている」という見方もありますが、それは単純化しすぎかもしれません。
例えば、100ドルのスニーカーをFoot Lockerで買うことで…
- 🧑💼Foot Lockerの店員
- 🎨NIKEのデザイナーやマーケティング担当
- 🚛物流業者
など、多くのアメリカ人の雇用が生まれているのです。
👷アジアの労働者は搾取されているのか?
製造コスト25ドルのうち、実際に工場での生産にかかるコストは12.5ドルほどと推定されます。では、労働者にいくら渡っているのでしょうか?それは不明ですが、ガイ氏はこう語ります。
「アジアの労働者=搾取されている」と決めつけるのは早計です。
生活コストが違うため、適正に支払われている可能性もあるのです。
✋感情的な判断をせず、現地の経済事情や倫理的な生産体制を見極める目も大切です。
🏭アメリカ国内で生産すれば220ドルに?
アメリカ国内でスニーカーを生産する場合、その価格は**220ドル(約3万2120円)**にも達するといわれています。しかも、原材料の30%は海外からの輸入に頼っているため、関税の影響から完全には逃れられません。
つまり、「国内生産=完全な自給自足」ではなく、グローバルな経済構造の中で価格や雇用がバランスを取って成り立っているのです。
🎯まとめ:スニーカーの価格は、単なる原価や関税だけでは語れない
今回のガイ氏の解説をもとに、スニーカー価格の裏側を簡単に整理すると…
- 💰製造原価は25ドル前後
- 📦関税や輸送費などで50ドル以上に
- 🏪小売に回るまでに150ドルに膨れ上がる
- 🧑💼海外生産でもアメリカ国内の雇用は維持されている
- 📉無理に国内生産すれば価格上昇で消費が冷え込み、結果的に雇用減のリスクも
つまり、関税の引き上げは「単に国内産業を守る」だけでは済まず、消費者価格や雇用、グローバルなサプライチェーン全体に波紋を広げる可能性があるのです。
🧠**「海外生産=悪」「関税を上げれば国内雇用が増える」という単純な議論ではなく、複雑な現実を踏まえたうえで、今後の選択を考えることが大切です。**