最先端の半導体開発を担う日本発のスタートアップ「Rapidus(ラピダス)」が、国家規模の支援を受けて注目を集めています。ところが、民間企業からの投資は想定よりも進まず、現在の出資額はわずか73億円にとどまっています。
この記事では、Rapidusの現状や政府の支援体制、民間投資が進まない背景、そして今後の展望について詳しく解説します。

🏭 Rapidusとは?2nm半導体に挑戦する国産企業
Rapidusは2022年に、トヨタ・ソニー・NTT・NEC・デンソー・ソフトバンク・キオクシア・三菱UFJ銀行といった国内の大手企業からの出資を受けて誕生しました。
🔧 主なプロジェクト:
- 北海道・千歳市に建設中の工場にて、2025年4月から2nm半導体の試作製造を開始予定
- 製造ラインには、オランダASML製の最新EUV露光装置「NXE:3800E」を導入済み(2024年12月)

💰 政府は5900億円+1兆5000億円を支援
政府はRapidusに対し、圧倒的なスケールで支援を行っています。
支援内容 | 金額 |
---|---|
2024年4月の補助金 | 5900億円 |
2024年度の補正予算 | 1兆5000億円(AI・半導体産業向け) |
商工中金株式売却による追加支援 | 1000億円 |
さらに、政府は新たな法改正を進め、IPA(情報処理推進機構)経由での出資や、民間からの融資への債務保証も可能とする体制を整備中です。

🤔 それでも民間企業は出資に慎重な理由
一方で、民間企業の出資額は設立時の73億円から増えていません。
🧱 主な理由:
- 「試作品すらない段階での出資にはリスクが高すぎる」と懸念する声
- 「政府からの要請で検討せざるを得ないが、納得はしていない」との本音
- 巨額支援の過去の失敗例(例:エルピーダメモリの破綻)への不安

🧭 野党・与党からも意見が分かれる
🏛️ 立憲民主党・本庄知史議員:
「支援の全体像やロードマップを明確にしてから追加出資すべき」
🏛️ 自民党・石破首相:
「税金投入の方針は明確にすべきだが、国際競争に出遅れるのは避けねばならない」
🏛️ 共産党・辰巳孝太郎議員:
「エルピーダのような公的資金投入の失敗を繰り返すな」と警鐘

🚰 工場建設も突貫作業で進行中!
Rapidusの千歳工場では、予定通り2025年4月の稼働に向けて建設と設備搬入が進行中です。
✅ 工事ハイライト:
- 半導体製造に必要な水を供給する専用水道管(全長4.1km)を通常4年かかるところを2年弱で完成
- 工場はすでに露光装置の搬入を完了
- 清水敦男専務執行役員は「スケジュール通り、4月の稼働に自信がある」とコメント
📉 現在の状況まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
政府支援総額 | 約9200億円(+1兆5000億円の予算枠) |
民間出資額 | 73億円(初期投資のみ) |
今後の資金調達目標 | 民間から1000億円の追加出資を見込む |
試作開始予定 | 2025年4月 |
露光装置 | ASML「NXE:3800E」導入済み |
✍️ まとめ:期待と不安が交錯するRapidusの未来
Rapidusは日本の半導体産業復活の象徴ともいえる存在です。しかし、その成功には「民間の信頼」を得ることが不可欠です。
国が道を敷き、企業が信頼し、社会が見守る。Rapidusは今、未来の産業構造を形作る「試金石」となりつつあります。
今後の資金調達、製造ラインの立ち上げ、そして製品化への道筋が注目されます。
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