違法ストリーミングサービス「Jetflicks」を運営していた5人の男性に、著作権法違反および共謀罪などで有罪判決が下されました。このサイトは、NetflixやHulu、Amazonプライム・ビデオを上回る膨大な量のコンテンツを違法に配信し、数億円規模の収益を得ていたとされています。
「Jetflicks」とは?違法ストリーミングの仕組み
Jetflicksは、Pirate BayやTorrentzなどのトレントサイトを活用し、違法に共有された動画コンテンツを自動プログラムで収集。これらを整理して、ブラウザ、スマートフォン、ゲーム機、スマートテレビなど、多様なデバイスで視聴可能にしていました。
サービス内容
- 月額料金:9.99ドル(約1100円)
- 配信コンテンツ:18万3200点以上
- 対応デバイス:スマートフォン、タブレット、ゲーム機、スマートテレビなど
配信作品数は、NetflixやHulu、Amazonプライム・ビデオの合計を超えており、ユーザーにとって魅力的な選択肢に映った反面、著作権侵害の温床となっていました。
5人の運営者に有罪判決
2024年6月、ラスベガスの連邦地方裁判所は、Jetflicksの運営に関与していた以下の5人の男性に有罪判決を下しました。
- クリストファー・ダルマン
- ダグラス・コーソン
- フェリペ・ガルシア
- ジャレッド・ハウレキ
- ピーター・フーバー
判決内容
- 著作権法違反および共謀罪
全員に適用される主な罪状。運営者全員に最高で懲役5年が科される可能性があります。 - 追加の罪状(クリストファー・ダルマン)
ダルマンは、マネーロンダリング隠ぺい罪2件および著作権侵害罪3件でも有罪判決を受け、最大懲役48年の可能性があります。
司法省によれば、Jetflicksはテレビ番組の著作権所有者に甚大な損害を与え、数百万ドルもの違法収益を得ていました。
「航空エンターテイメント会社」への偽装未遂
Jetflicksは、著作権者からの苦情や決済サービスプロバイダーからの制裁で倒産の危機に直面。その際、運営者たちは「Jetflicksを航空エンターテイメント会社として偽装する計画」を試みました。しかし、この試みは失敗に終わり、最終的に司法当局に追及される結果となりました。
業界への影響と著作権保護の取り組み
アメリカ映画協会(MPAA)のカリン・テンプル氏は、今回の判決を「知的財産権の画期的な勝利」と評価し、次のようにコメントしています。
「今回の陪審による有罪判決は、クリエイティブ業界への重大な損害を浮き彫りにしました。セットデザイナーやカメラマンなど、多くの業界関係者が影響を受けました。」
また、司法省のニコル・アルジェンティエリ主席副司法次官は、違法ストリーミングの取り締まりが今後も強化される方針を明らかにしました。
サブスクリプション料金高騰が背景に
専門家によれば、合法ストリーミングサービスの料金高騰が、海賊版サイトを利用する主な理由の一つとされています。NetflixやHuluなどの主要サービスが競争の激化とともにコンテンツの拡充を図る一方、料金の上昇により一部の利用者が海賊版に流れるケースが後を絶ちません。
まとめ
Jetflicks事件は、違法ストリーミングサイトがどのように運営され、どれほどの影響を業界に与えるかを浮き彫りにしました。合法ストリーミングサービスの普及に伴う課題も明らかになり、今後のデジタル著作権保護の動向が注目されています。
業界全体がこのような問題にどのように対応するか、私たちユーザーも意識を高める必要があるでしょう。
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