65万人が登録する「MrDeepFakes」の背後に隠された真実とは?
ディープフェイク技術を利用したポルノサイト「MrDeepFakes」は、65万人以上の登録ユーザーを抱え、毎月数百万回ものアクセスを集める非常に影響力のあるサイトです。ドイツの公共放送局ARDとZDFが共同で資金提供している調査報道プロジェクト「STRG_F」とオランダの調査機関Bellingcatは、このサイトとその背後に潜む組織について調査を行い、驚くべき事実を明らかにしました。
「MrDeepFakes」の成長と影響
「MrDeepFakes」では、毎月数千本以上のディープフェイクポルノがアップロードされており、その累計視聴回数は20億回を超えています。調査によると、2018年2月から2024年12月までに、サイトにアップロードされた動画数は58,123本に達しています。サイト上に掲載されるコンテンツは、一般の人々や有名人を模倣したポルノ動画を含み、その影響は広範囲にわたります。
リポーター自身も被害者に
調査報道を担当したリポーターのパトリツィア・シュロッサー氏は、驚くべきことに自らのディープフェイクポルノも「MrDeepFakes」で公開されていたことが判明しました。最初はショックを受けたものの、その後、黙っていることはできないと決意し、反撃に転じたと語っています。このような被害は、ディープフェイク技術が持つ危険性を改めて浮き彫りにしています。
背後に隠された企業と技術
「MrDeepFakes」の運営者は謎に包まれており、その資金の流れを追うことが困難です。サイト内で目立つようにPRされている「DeepSwap AI」と「candy.ai」という2つのアプリが、運営者の手がかりとなる可能性があります。
- DeepSwap AI
このアプリは、月額9.99ドルでリアルなディープフェイクを作成できるサービスを提供しており、「MrDeepFakes」のトップページからリンクが張られています。アプリ開発元は、「Meta way」と「Metaway Intellengic Limited」という企業名で知られています。調査の結果、香港に拠点を置く「Metaway Intellengic Limited」が、「Deep Creation Limited」という会社の子会社であり、その背後には中国の深圳市に住む張という人物が関与していることが明らかになりました。 - candy.ai
「candy.ai」は、ユーザーが自分だけのAIガールフレンドを作成できるアプリで、12月20日に「MrDeepFakes」にリンクが追加されました。所有者は、マルタに拠点を置く「EverAI Limited」で、CEOはアレクシス・ソウロポロス氏です。ソウロポロス氏は、オーストラリアのペットシッターマッチングサービス「Mad Paws」の共同創業者でもあります。しかし、「MrDeepFakes」の運営は、Bellingcatからの問い合わせに反応しませんでした。
法的対応と今後の展開
世界的にディープフェイク技術への対応が進んでおり、特に欧州では強化されています。2024年には、イギリスでディープフェイクポルノの制作や共有を取り締まる新たな法律が成立し、これにより「MrDeepFakes」のようなサイトへのアクセスがブロックされるようになりました
結論
「MrDeepFakes」のようなサイトが引き起こす問題は、個人のプライバシー侵害や名誉毀損、性的搾取など、さまざまな倫理的、法的な問題を引き起こしています。その背後にある企業や人物の詳細は依然として不明な点が多いものの、世界各国の法的枠組みの強化が進む中で、これらのサイトに対する規制が今後強化されていくことが予想されます。私たちはディープフェイク技術の利用が引き起こす社会的影響を真剣に考え、適切な対策を講じる必要があります。
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