2025年4月、アメリカの関税ルールが大きく変更されたことにより、中国発の格安ショッピングアプリ「Temu」と「SHEIN」がアメリカ市場での価格を引き上げる決定を下しました。この影響で、多くのアメリカ人ユーザーが代替手段を求め、中国の卸売マーケットプレイスアプリ「DHgate」や「Taobao」へと流れ込み、両アプリのダウンロード数が急増しています。
🇨🇳Temu・SHEINの価格引き上げ、その原因とは？
TemuやSHEINはこれまで、アメリカの**「デ・ミニミス・ルール（De Minimis Rule）」**という関税免除制度を活用して、800ドル（約11万4000円）以下の小口輸入品を無税で販売していました。
しかしこの制度は、中国からの商品の流入急増や、違法薬物の流入にも利用されていたと指摘され、「制度の乱用」として問題視されてきました。ジョー・バイデン政権下でも見直しが検討されていましたが、2025年4月2日、ドナルド・トランプ大統領はこの免税制度を撤廃する大統領令に署名。
📜 新ルールでは、2025年6月からは輸入金額に関わらず、一律200ドル（約2万8500円）の関税が課されることになります。
🛍 Temu・SHEINは値上げを発表、駆け込み需要で一時的に売上増
この大統領令の発表を受け、TemuとSHEINは価格改定（値上げ）を正式に発表。アメリカ国内では「今のうちに買っておこう」という駆け込み需要が発生し、一時的に売上が上昇する現象も見られました。
しかし、ユーザーにとっての「安さ」の魅力が薄れる中、次の選択肢として浮上してきたのが、卸売・直販型の中国アプリたちです。
🚀注目アプリ1：DHgate（ディーエイチゲート）
BtoB向けに特化した中国の卸売プラットフォーム「DHgate」は、今回の関税変更の影響を直接的に受けなかったことから、急速に人気を獲得。
📊 2025年4月13日には、1日で全世界11万7500件のアプリダウンロードを記録。そのうち**アメリカからのダウンロードは6万5100件（前月比940％増）**にも達しました。
「私たちは、国境を越えたデジタル取引体験を提供し続けます」
― DHgate担当者のコメント
この結果、中国の卸売マーケットプレイスアプリが急速にユーザー数を増加させており、法人向けプラットフォームの「DHgate」では、2025年4月13日の1日だけでアプリが全世界で11万7500ダウンロードされました。そのうち、6万5100ダウンロードがアメリカのユーザーによるもので、以前の30日間平均から940％増加しました。DHgateの担当者は「この驚異的なトラフィックの急増に感謝しています。私たちは、国境を越えた電子商取引に深く根ざした企業として、世界中の消費者のデジタル取引体験を向上させることに引き続き注力しています」と述べています。関税の規則変更による恩恵を受けているのはDHgateだけでなく、Alibabaが設立したオンラインショッピングプラットフォームのTaobao(淘宝)もインストール数が増加しています。
📈注目アプリ2：Taobao（タオバオ）
Alibabaグループが展開する「Taobao」もこの流れに乗り、2025年4月に前月比514％増の18万5000件のダウンロードを記録。特に4月11〜12日にかけて、インストール数が5.7倍に跳ね上がるという爆発的な伸びを見せました。
🎥SNSで拡散される「中国製＝高級ブランドの製造元」説
TikTokやX（旧Twitter）などのSNSでは、以下のような主張をする動画が拡散されています：
🧵「多くの高級ブランド製品は中国の工場で作られている」
🪡「ブランドロゴが違うだけで、中身は同じ」
💡「だからTaobaoやDHgateで買えば超お得！」
このようなメッセージが若年層やコスパ重視派に刺さり、ダウンロード増加の一因となっています。
⚠️注意点：模倣品・偽ブランド問題も
一方で、欧州の高級ブランド（バーバリー、ルイ・ヴィトン等）は「製造はあくまで欧州内で行っている」と明言しており、DHgateやTaobaoで出回る高級ブランド品の多くは偽造品の可能性が高いとの警鐘も。
実業家ジョセフ・チャン氏は、「これらの中国工場の多くはかつて高級ブランドの下請けだったが、今では模倣品を製造する新興企業に資金提供している」と警告しています。
🔍まとめ：値上げラッシュと消費者の新たな選択肢
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 🇺🇸 アメリカの関税変更 | 2025年6月から800ドル以下も課税（200ドル） |
| 📈 Temu・SHEIN | 値上げを発表し、駆け込み需要で売上増加 |
| 📱 DHgate・Taobao | ダウンロード数が急増中（特にアメリカで） |
| ⚠️ 模倣品問題 | 正規ブランド製品との見分けがつきにくいリスク |
今後、消費者が「安さ」か「正規性」かをどう判断するのかが重要なテーマとなりそうです。
