地球に衝突するかもしれない小惑星が発見される、衝突確率は77分の1

地球に衝突するかもしれない小惑星が発見される、衝突確率は77分の1 #ニュース・社会・コラム
2024年12月、小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)のチリ拠点の望遠鏡を用いた観測で、天文学者たちは小惑星「2024 YR4」を発見しました。この小惑星は将来的に地球に接近する可能性があり、衝突する確率は1/77と見積もられています。

小惑星「2024 YR4」発見、地球衝突の確率は1/77?詳細解説と今後の展望

2024年12月、小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)のチリ拠点の望遠鏡を用いた観測で、天文学者たちは小惑星「2024 YR4」を発見しました。この小惑星は将来的に地球に接近する可能性があり、衝突する確率は1/77と見積もられています。この記事では、2024 YR4に関する現在の情報と今後の観測計画について詳しく解説します。

小惑星「2024 YR4」の発見と観測状況

2024 YR4は地球に比較的近づいた2024年12月27日に発見されました。発見後の約1か月間、天文学者たちは小惑星を注意深く追跡しました。その結果、2025年2月時点では2024 YR4は地球から遠ざかる軌道にあることが確認されています。4月頃には世界最大級の望遠鏡でも観測が難しい位置へ移動すると見られています。

以下は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡で2025年1月に撮影された観測映像です。背景の星が動いて見える中、中央にある小さな点が2024 YR4です。

今後の軌道と地球衝突リスク

天文学者たちは1か月間の観測データから、2024 YR4の将来的な動きを推定しています。

  • 2032年12月22日:地球にかなり接近
    推定では地球からわずか10万km程度の誤差範囲に入る見込みです。この誤差範囲に直径1万2000kmの地球がすっぽり収まっているため、衝突の可能性も否定できません。
  • 衝突確率:1/77
    NASAのSentryシステムによる計算では、2024 YR4が地球に衝突する確率は約1/77。これは小惑星衝突のリスクとしては比較的高い値です。

衝突時の影響とシナリオ

2024 YR4の正確な大きさはわかっていませんが、推定では直径40m〜100m。また、構成物質によって被害の程度は異なります。

岩石型の場合

最も可能性が高いとされる岩石でできた小惑星の場合、大気圏突入時に爆発し、衝撃波が地表を襲います。この場合、1908年にシベリアで発生したツングースカ大爆発(約2000平方kmに被害)に匹敵する規模の破壊が起こる可能性があります。

金属型の場合

もし金属で構成されている場合、大気圏をほぼ無傷で通過し、地表に衝突するリスクがあります。この場合、直径1km以上、深さ数百mのクレーターが形成されると予測されています。

今後の観測計画と対策

2028年12月には、2024 YR4が再び地球から約800万kmの位置に接近する見込みです。この接近時に、天文学者たちは小惑星の大きさや形状を詳細に観察する予定です。

南クイーンズランド大学のジョンティ・ホーナー教授によると、2028年の観測結果によって2032年の衝突リスクを高い精度で予測できる見込みです。場合によっては、地球への衝突地域も数十km単位で予測可能になるとのことです

衝突回避の技術は進歩中

ホーナー教授は、近年の技術進歩により、小惑星の軌道変更が現実のものとなりつつあると指摘します。たとえば、NASAのDARTミッションは、2022年に小惑星の軌道変更に成功しました。こうした技術により、潜在的な脅威に対する備えが進んでいます。

ホーナー氏のコメント: 「2024 YR4はある程度の衝突可能性を持ちますが、被害は局所的な範囲に限られるでしょう。技術的な対応力も向上しているため、冷静に観察結果を待つことが大切です。」


まとめ

2024 YR4の衝突リスクは確かに存在しますが、技術の進歩と継続的な観測によりリスクを軽減できる可能性があります。最新情報を注視しつつ、科学の進展にも期待していきましょう。


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