近年、世界中で保守・リベラルの対立が深刻化し、社会の分断が問題視されています。📉
しかし、その裏にある要因について、オーストリアの研究組織 Complexity Science Hub(CSH) の研究チームが、驚くべき仮説を提示しました。
「政治的二極化の加速は“友人が増えたこと”が原因かもしれない」
本記事では、この研究の内容をわかりやすく解説し、
現代社会に起きている分断の正体を深掘りします。

✅ なぜ今、政治的二極化が急速に深刻化しているのか
CSHの研究者ステファン・サーナー氏は、
「なぜ近年、分極化がこれほど劇的に進んでいるのか?」
という疑問から研究を開始。
調査チームは、アメリカ人の政治的態度を追跡してきたピュー研究所の2万7000件以上のデータを分析しました。
● 1999〜2017年で政治的態度はどう変化したか?
- 一貫してリベラル
14% → 31% - 一貫して保守
6% → 16%
中間の立場よりも、どちらかの“極”に寄る人が激増していたのです。

✅ 親しい友人の数は「20年で倍増」していた
研究チームがさらに注目したのが、
アメリカ・ヨーロッパ計5.7万人のデータを含む30件の調査。
そこで見えてきたのは、以下の変化でした。
● 親しい友人の平均人数
- 2000年:2.2人
- 2024年:4.1人(ほぼ倍)
たった20年で、私たちの「人間関係の濃さ」は大きく変化していたのです。

✅ 友人の急増はSNSとスマホ普及と同時期
さらに興味深いのは、
友人数の増加と政治的二極化の加速が、
✅ SNS・スマホが普及した2008〜2010年と完全に一致している
という点です。
研究チームは、
SNSが人々のつながり方を根底から変え、
その結果として政治的二極化が“相転移”のように突然進んだ
と指摘しています。
ここでいう「相転移」とは、
水が氷に変わるように、
ネットワークが一定密度を超えると急に性質が変わる現象のこと。
✅ なぜ友人が増えると政治的二極化が進むのか?
研究の中で示されたメカニズムは以下の3点です。
✅ 1. つながりが増えると「異なる意見に遭遇する回数」が爆増
人間関係が増えれば、当然、
自分と異なる意見にふれる機会も増えます。
これは議論や摩擦を生みやすく、
結果として対立意識が強まる方向に作用します。
✅ 2. 友達が多いほど「寛容である必要がなくなる」
サーナー氏の興味深い指摘:
友達が2人なら大切にしようとする。
しかし5人いれば、1人を失っても“予備”がいる。
人間関係の“コスト”が下がることで、
異なるものへの寛容度が下がり、
意見が合わない相手を切り捨てやすくなるというわけです。
✅ 3. SNSが「バブル化」「断片化」を加速
同じ意見の仲間だけで固まりやすくなり、
反対意見の人と交流する機会はほぼゼロに。
その結果、
- 互いに理解し合えない
- 反対グループを敵視する
- 交流が断絶する
という「フィルターバブル」が完成します。
✅ 民主主義への危機:「話し合わない社会」は崩壊する
サーナー氏は最後に、
民主主義は社会のすべての声が対話することで成り立つ。
交流がなくなればその前提が崩れる。
と警告を発しています。
分断を防ぐ鍵は、
異なる意見への寛容さを早いうちから育てること。
SNS時代の教育課題として、今後ますます重要になりそうです。
✅ まとめ:友人が増えた社会は、皮肉にも“分断”を生んだ
- 近年の二極化の背景には「友人の増加」が関係している
- SNSでつながりが増え、異なる意見に触れる回数が急増
- 寛容になる必要が減り、対立が加速
- バブル化したコミュニティが断片化を引き起こす
- 民主主義の前提である「対話」が失われつつある
「友人が増える=良いこと」という常識を覆す研究でした。
