空の旅の最中、わずかな異常音や振動にも「まさか事故では?」と不安を覚える人は多いでしょう。
しかし、航空の専門家によれば、それらの多くは想定されたトラブルであり、適切な対応が行われる限り命に関わる危険はほとんどないといいます。
グリフィス大学の航空学上級講師、グイド・カリム・ジュニア氏は次のように述べています。
「パイロットはあらゆるトラブルに備えて訓練を受けています。チェックリストに沿って対応すれば、緊急降下やエンジン停止も“安全装置が正常に働いた証拠”です。」
この記事では、カリム氏が紹介した「怖く聞こえるが実は安全に処理される4つのトラブル」をわかりやすく解説します。

🫧 1. 空調・加圧システムの不具合
飛行機は、エンジンから取り込んだ空気を人工的に調整して機内気圧を保つ仕組みを備えています。
もしこの加圧システムに異常が発生すると、パイロットはすぐに酸素マスクを装着し、「緊急降下」プロトコルを開始します。
🧭 乗客には「急降下している」「耳が詰まる」と感じられるかもしれませんが、これは事故回避のための安全動作です。
酸素マスクが自動的に展開しないまま降下することも多く、それ自体が異常というわけではありません。
✅ 対応プロセス:
- 異常検知 → パイロット酸素マスク装着
- 緊急降下(安全高度まで)
- 代替空港または出発地へ引き返し

🔥 2. エンジン故障
「エンジンが止まったら墜落するのでは?」と思われがちですが、
旅客機は**片方のエンジンが停止しても安全に飛行できる設計(冗長性)**を持っています。
パイロットは年1回以上、シミュレーターで片発エンジン飛行の訓練を実施。
警告を受けた後、該当エンジンを特定・停止し、安全な高度で飛行を続けます。
💡 実例:
2025年9月、サンフランシスコ行きアメリカン航空2035便がバードストライクでエンジン出火しましたが、無事着陸に成功。
これは訓練された対応手順と冗長設計のおかげです。
エンジン火災=即墜落ではありません。
通常は「片発飛行」に切り替わるだけです。

⚙️ 3. 油圧トラブルと飛行制御装置
現代の航空機には複数の油圧系統が存在し、1系統が故障しても他のシステムが補完します。
仮に不具合が発生しても、パイロットは**「チェックリスト方式」**で速度やフラップ、姿勢を調整し、安全な着陸を実行します。
🛬 2025年7月には、カンタス航空QF2079便が油圧系統の問題で緊急着陸しましたが、全員無事でした。
こうした対応ができるのは、1989年のユナイテッド航空232便事故から得られた教訓が機体設計と訓練に反映されているためです。

🛞 4. 着陸装置・ブレーキシステムの故障
旅客機の脚部には多くの可動部品と油圧機構があります。
着陸装置が展開しない、またはブレーキが作動しない場合、**「胴体着陸」**という形で地上へ滑走します。
このとき客室乗務員から「衝撃に備えて」とアナウンスされることがありますが、
乗員はすでに衝撃を最小限に抑える姿勢・角度・速度を設定済みです。
🎯 胴体着陸は非常にまれですが、発生しても致命的な被害に至ることはほとんどありません。

🧠 まとめ:飛行機は「トラブルを前提に安全設計されている」
パイロットはシミュレーターであらゆる異常事態に備え、
機体は複数の冗長システムと警告機能を備えています。
「急降下」「火花」「油圧異常」など、
一見恐ろしく聞こえる出来事も、実際には安全システムが正しく作動しているサインなのです。
飛行機は「世界で最も安全な交通手段」といわれるのも、この多重安全構造のおかげです。
