2025年のノーベル化学賞は、「金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks、MOF)」の開発で世界を変えた
北川進氏(京都大学)、リチャード・ロブソン氏、オマー・ヤギー氏の3名に授与されました🏅。
この「MOF」は、“空気からCO₂や水を集める”夢のような素材として注目を集めています。
では、この画期的な素材はどのような仕組みで、何に役立つのでしょうか?

🧬 MOFとは?金属と有機分子が作る“穴だらけ”のナノ構造
MOF(金属有機構造体)は、金属イオンと有機化合物を組み合わせて形成される3次元構造体です。
最大の特徴は、**ナノメートルサイズの無数の穴(細孔)**が存在すること。
この穴は分子の“トラップ”として機能し、
二酸化炭素・水・メタンなどの気体分子を選択的に吸着・貯蔵できます。
つまり、MOFは「分子を捕まえるための人工スポンジ🧽」のような存在なのです。

🌍 MOFの応用例:空気からCO₂や水を集める未来技術
MOFの最大の魅力は、その応用範囲の広さにあります。
具体的には以下のような用途が研究・実用化されています👇
- 🌫 CO₂の回収・再利用(DAC技術)
→ 大気中の二酸化炭素を吸着・固定化して再資源化。 - 💧 砂漠での水回収
→ 空気中の水分子を集め、飲料水として利用可能。 - 🏭 化学プラントでのガス分離
→ 水素やメタンなどの有用ガスを高精度で分離。 - ☣️ 危険ガスの安全貯蔵と輸送
→ 有害物質を無害化または安全に閉じ込める。
これらの応用により、MOFは環境・エネルギー・医療のあらゆる分野で期待されています。
ノーベル委員会も次のようにコメントしています。
「MOFは『21世紀の材料』と呼ぶにふさわしい。
彼らの発見は、地球規模の課題に対して新たな解決策をもたらした。」

👨🔬 北川進氏の発見ストーリー:「計算機の待ち時間」で生まれた奇跡
京都大学の北川進教授は、1990年から多孔性材料の研究を開始。
1992年、結晶構造を解析中にふと覗いた途中データに「無数の規則的な穴」が見え、
「これは面白い」と直感的にひらめいたと語っています💡。
この瞬間が、MOF研究の原点でした。
その後1997年には、**気体分子を大量に吸着できる多孔性配位高分子(PCP)**の合成に成功。
この成果が世界的なブレイクスルーとなり、現在のMOF研究へとつながりました。
北川氏は現在、京都大学の
「理事」「副学長」「高等研究院特別教授」として活動を続けています。

🧱 ロブソン氏・ヤギー氏の貢献:理論と命名でMOFを世界に広める
MOFの理論的基盤を築いたのは、オーストラリアのリチャード・ロブソン氏。
1989年に発表した論文で、金属と有機分子のネットワーク構造による多孔性の可能性を提唱しました。
一方、アメリカのオマー・ヤギー氏は、
「Metal-Organic Framework(MOF)」という名称を命名し、
実際にその多様性と機能性を実証した研究で世界的評価を受けています。
この3人の功績が合わさり、MOFは“国際的な科学の結晶”となったのです。
🌱 MOFがもたらす未来:環境・医療・宇宙開発まで
MOFは今後、地球温暖化対策・エネルギー効率改善・宇宙探査など、
人類の課題解決に大きく貢献すると期待されています。
- ☁️ CO₂回収によるカーボンニュートラル推進
- 💧 水資源不足地域での水供給システム
- 🔋 次世代電池・触媒材料への応用
- 🧫 医薬品の徐放(ドラッグデリバリー)技術
“分子を自在に操る構造体”として、MOFは化学と環境の未来をつなぐ架け橋になりつつあります。

