💥 戦争で核兵器が使用されると、爆発や放射能による直接的な被害に加え、大気中に舞い上がる灰や煙によって太陽光が遮られ、地球規模の寒冷化──いわゆる 「核の冬」 が到来するといわれています。
では、この核の冬がもし現実となった場合、世界の食糧供給にはどれほど深刻なダメージが及ぶのでしょうか?
ペンシルベニア州立大学の研究チームが発表した最新のシミュレーション結果が、その答えを示しています。

核の冬が農業に与える影響 🌍🌽
研究チームは、世界で最も広く栽培される穀物である トウモロコシ を対象に、核戦争で大気中に放出される「すす」の量に応じて収穫量がどう変化するかをモデル化しました。
- 🔬 使用モデル:Cycles農業生態系モデル(スーパーコンピューターで土壌・植物・大気内の炭素・窒素循環を追跡)
- 📊 対象地点:38,572地点
- 🌫️ シナリオ:すすの量を500万トン〜1億6500万トンまで変化させた6種類の核戦争想定
結果として、たとえ 局地的な核戦争(すす550万トン規模) であっても、世界のトウモロコシ生産量は 7%減少。
一方、最悪のシナリオ(すす1億6500万トン) では、 80%もの大幅減少 に陥る可能性が示されました。

紫外線による追い打ち 🌞⚡
さらに恐ろしいのは、すすによる寒冷化だけではありません。
核爆発の熱で発生する 窒素酸化物 と すす によってオゾン層が破壊されると、地表に到達する 紫外線B波 が増加します。
- 紫外線B波はDNA損傷、酸化ストレス、光合成低下を引き起こす
- シミュレーションでは 核戦争から6〜8年後に紫外線がピーク
- その影響だけで トウモロコシ収量がさらに7%減少
つまり、すす+紫外線B波の複合効果で、最大87%の収穫減少 という壊滅的な結果が算出されました。

被害は数十年にわたって継続 ⏳
シミュレーションによると、影響は一時的ではなく 核戦争から12年後でも生産量の減少が続く ことが確認されています。
これは「核の冬」が一過性の現象ではなく、長期的な世界規模の飢餓リスク を伴うことを意味します。

生き残るための農業戦略 🌱
研究チームは、被害を完全に避けることはできないものの、ある程度の 適応策(農業レジリエンス) によってダメージを軽減できるとしています。
- 🌾 短い生育期間でも育つ品種 への切り替え
- ❄️ 低温環境に耐えられる作物 の導入
- 📦 「農業レジリエンスキット」の準備(寒冷化に備えた種子ストックなど)
これらを事前に備えることで、何もしない場合よりも10%多く収穫できる可能性 があると指摘しています。
まとめ ✨
- 核の冬は 太陽光を遮り、世界の農業に大打撃 を与える
- トウモロコシ収穫量は 最大87%減少 という壊滅的シナリオも
- 影響は 10年以上続く可能性 がある
- 農業の適応策により、被害をわずかでも軽減できる余地はある
🌍 核戦争は戦場だけでなく、地球規模の飢餓を引き起こす可能性がある──今回の研究はその現実的なリスクを示しています。
