長らく脅威に目を背けてきたとされる台湾。しかし近年、中国の圧力が高まるなかで、国を挙げての防衛強化が急速に進んでいます。
かつてはアメリカから「備えが不十分」と批判されることもあった台湾ですが、今や社会全体で「自衛の意思」を強く打ち出し始めているのです。

🌏 変わりゆく「台湾海峡」の情勢
7月に行われた定例の大規模軍事演習「漢光」では、過去最長となる10日間の訓練が実施されました。台湾海峡は世界で最も緊張が高いホットスポットの一つであり、第3次世界大戦の火種になりかねない地域と見られています。
かつての台湾は、蒋介石時代から続く「中国本土への反攻」という幻想に囚われていました。しかし現実は、中国の圧倒的軍事力を前に夢物語にすぎず、アメリカも台湾の軍備要求に不満を抱いていました。
特に台湾が欲しがった最新鋭のF35戦闘機などは、中国軍の攻撃に脆弱で、むしろ対艦ミサイルなどの「非対称戦力」が必要だと指摘されてきたのです。
さらに台湾軍の内部は国民党の影響を色濃く受け、改革に抵抗する古い体質が根強く残っていました。実際、2013年には文民出身の国防部長が任命されたものの、わずか6日で辞任に追い込まれた例もあります。
🛡️ 台湾が選んだ最新戦略は「持久戦」
2016年から2024年まで総統を務めた蔡英文は、強いリーダーシップで中国の脅威に対応しましたが、経済や国際投資への影響を考え、軍事的備えを強調しすぎることは避けていました。その結果、十分な防衛体制の整備が遅れたという面も否めません。
しかし現在は状況が一変。2024年に就任した頼清徳総統は、前任者以上に積極的に危機感を示し、国防政策を強化しています。台湾は正面からの衝突ではなく、長期的な「持久戦」戦略 を選択。敵の侵攻を一時的にしのぎ、国際社会の支援を受ける形で自衛力を高めています。
この方針は「小さな島国が大国に立ち向かう現実的な戦い方」として、アメリカを含む同盟国からも支持されています。
🏙️ インフラから文化まで、国を挙げて備える台湾
今の台湾で特徴的なのは、軍事だけではなく 社会全体を巻き込んだ防衛意識の高まり です。
- 🚧 インフラ整備:シェルターや避難設備の拡充
- 🎓 教育:防災・防衛を意識したカリキュラムの導入
- 📺 文化・ドラマ:有事をテーマにした作品を通じて一般市民の関心を高める
国民の間では「自分たちの国は自分たちで守る」という意識が確実に広がりつつあります。これは、アメリカからも求められていた「自助努力」の具体化といえるでしょう。
🔎 まとめ
- 台湾はかつて脅威に目を背け、防衛体制が不十分だった
- 現在は頼清徳総統のもとで防衛意識が大幅に高まり、持久戦戦略を採用
- 軍事だけでなく、インフラ・教育・文化など国全体で防衛を強化
- 中国の圧力が高まるなか、台湾社会は「真剣な自衛」に舵を切った
台湾海峡の緊張は今後さらに高まると予想されますが、台湾の変化は「小さな国が大国の圧力にどう立ち向かうか」という世界的な課題に一つの答えを示しているのかもしれません。
