国際刑事裁判所(ICC)は2023年、ウクライナでの児童の不法な移送に関与したとして、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を発行しました。
では、もしプーチンがアメリカに足を踏み入れた場合、本当に逮捕されるのでしょうか?🤔
米ロ首脳会談が迫る中、この疑問がSNSやメディアで大きな注目を集めています。

アメリカ訪問は約10年ぶり
会談は 8月15日午前11時30分(現地時間)、アラスカ州アンカレッジ近郊の統合基地「エルメンドルフ・リチャードソン」で行われる予定です。
プーチンにとっては、2015年9月の国連総会以来、約10年ぶりのアメリカ訪問となります。
プーチン訪米の報道を受け、SNS上では「アメリカはICC逮捕状を執行すべきだ」という声も上がっています。しかし実際には、アメリカにはその義務がありません。
アメリカはICCを承認していない
ICCは2002年に設立された常設の国際刑事裁判所で、戦争犯罪や人道に対する罪を裁く権限を持ちます。
しかし大きな前提として、アメリカはICCを承認していないのです。
- 2000年:クリントン政権が署名
- 2002年:ブッシュ政権が署名を撤回
- その後もオバマ、トランプ、バイデン政権いずれも批准せず
アメリカはICCの権限外にあるため、たとえプーチンが国内に入国しても、米国内法に基づいて逮捕されることはありません。
ICCの逮捕状は「政治的な力」に左右される?
ICCは2023年、プーチンとロシア児童権利担当のマリア・リボワ・ベロワに逮捕状を発行しました。
彼らは ウクライナの子どもたちをロシアに強制移送した戦争犯罪に関与したとされています。
しかし実際には、ICCには逮捕を強制する執行機関が存在しません。
逮捕や移送は各国政府の協力に依存しており、加盟国であっても逮捕に消極的なケースがあります。
例:
- 2024年、ICC加盟国のモンゴルはプーチン訪問を受け入れたが逮捕せず
- ICCはモンゴルを非難したが、制裁は行わなかった
このように、政治的・外交的な思惑が優先され、ICCの権威は揺らぎつつあるのです。
他の国家指導者もICCに訴追されている
プーチンだけでなく、現職の指導者がICCに訴追される例は他にもあります。
- 2024年11月:ICCはイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相を訴追
- ガザでの軍事作戦における戦争犯罪の疑い
- ネタニヤフは「虚偽で反ユダヤ的」と反発
- 2025年:ネタニヤフはICC加盟国ハンガリーを訪問したが逮捕されず
- ハンガリーのオルバン首相は「逮捕状は無意味」と発言し、ICC離脱を表明
つまり、ICC加盟国でさえ逮捕に応じない前例が存在します。
プーチンは逮捕されるのか?
結論として、プーチンがアメリカ訪問中に逮捕される可能性は極めて低いといえます。
理由は以下の通りです。
- アメリカはICCを承認しておらず、執行義務がない
- 加盟国であっても逮捕を避ける例がある
- ロシアもICCの正当性を否定しており、報復を示唆している
したがって、プーチンは 何事もなくアメリカに滞在し、帰国する可能性が高いでしょう。
しかし、その姿はICCの権威や国際秩序の限界を浮き彫りにするものでもあります。
まとめ ✍️
- ICCはプーチンに逮捕状を発行している
- しかしアメリカはICCを批准していないため逮捕義務はない
- 加盟国でさえ逮捕を避けるケースがある
- プーチンが逮捕される可能性はほぼゼロに近い
👉 今回の訪米は、国際政治の現実とICCの限界を象徴する出来事となりそうです。
