「夜型生活」や「深夜のスマホ操作」が当たり前になった現代社会。しかし、夜間に多くの光を浴びることが、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患のリスクを高める可能性があるという研究結果が発表され、注目を集めています。

🧠 概日リズムと「光」の密接な関係
人間の体内時計=**概日リズム(サーカディアンリズム)**は、太陽の光を中心とした「光の刺激」によって調節されています。
このリズムは、睡眠・覚醒だけでなく、血圧・ホルモン分泌・代謝・体温といった生命活動全般に関与しています。
しかし、夜間に人工的な光を浴びすぎると、このリズムが乱れ、健康に悪影響を及ぼすことが知られています。今回の研究では、特に心血管疾患との関連に焦点が当てられました。

🩺 夜に光を多く浴びる人ほど心疾患のリスクが高い?
オーストラリアとイギリスの国際研究チームは、イギリスの公的健康データベース「UK Biobank」に登録された**8万8905人(40歳以上)**のデータを解析しました。
📊 研究のポイント
- 対象者は全員、手首に光センサー付きの装置を1週間装着
- 測定された「昼夜の光の曝露量」と、約9.5年間の心疾患発症データを比較
- 心筋梗塞・心不全・脳卒中などの心血管疾患の有無を追跡
その結果、夜間に最も多く光を浴びていた上位10%の人々は、その他の層と比べて心疾患の発症率が有意に高いことが明らかになりました。

🔦 夜の光はなぜ心臓に悪いのか?メカニズムを解説
研究チームは、以下のような生理的な要因を指摘しています:
- 💓 血圧・血糖・血液凝固といった機能は、すべて概日リズムに依存している
- 🌙 夜間の光曝露により、リズムが乱れ、血圧上昇・代謝異常・炎症反応の亢進が生じる可能性
- 💥 それが長期的に続けば、動脈硬化や心疾患の引き金になると推測
さらに、分析では女性や若年層において特にリスクが高い傾向も確認されました。

⚠️ 他のリスク因子を考慮しても「夜間の光」は独立した危険因子
興味深いのは、心疾患リスクに影響を与えるとされる以下の要素を調整してもなお、「夜の光の量」が独立したリスク要因として残った点です:
- 🚬 喫煙
- 🍷 アルコール摂取
- 🍔 食生活
- 😴 睡眠時間
- 🏃♂️ 身体活動
- 💰 社会経済的地位
- 🧬 遺伝的リスク
つまり、夜間の強い光そのものが心臓や血管にストレスを与えている可能性が高いということです。
💡 私たちが今日からできる「光害対策」
以下のような生活習慣の見直しが、心臓の健康を守るために有効です。
- 🛏 寝室はできるだけ暗く、遮光カーテンを活用する
- 📵 スマホやテレビは寝る1時間前にオフにする
- 💡 間接照明や暖色系の照明で夜間の明るさを抑える
- 🕯 寝る前は「薄明かり」でリラックスモードに切り替える
❗研究の限界と今後の課題
この研究は、プレプリントサーバー(査読前段階)で公開されたものであり、正式な学術誌に掲載される前のデータです。
また、因果関係を示すものではなく、「光の多さと心疾患の発症が関連していた」ことがわかったという相関の研究です。
しかし、分析の規模や精密性からみて、今後の健康政策や生活改善ガイドラインにおいても無視できない知見といえるでしょう。