2025年7月17日、AMDはAI処理に特化したワークステーション向けGPU「Radeon AI PRO R9700」の詳細を公式ブログで発表しました。
本製品は32GBの大容量VRAMを搭載し、NVIDIAのハイエンドGPU「GeForce RTX 5080」をAIワークロード処理性能で大きく上回るとアピールしています。
同日に公開されたAMDの公式発表記事はこちら:
🔗 AMD Radeon™ AI PRO R9700 Available in SI Partner Workstations

📊 AI処理におけるVRAMの重要性とは?
画像生成AIや大規模言語モデル(LLM)といった現代のAI技術では、モデルデータが巨大化しており、これらをローカルで実行するためには膨大なVRAM容量が必要です。
たとえば、VRAMが不足すると:
- AIモデルの読み込みができない
- VRAMの代わりにシステムメモリやストレージ(スワップ)を使用して極端に処理速度が低下
- 最悪の場合、クラッシュや応答停止が発生
このため、プロフェッショナル用途でAIを扱うユーザーにとって、VRAMの大容量化は極めて重要です。

Radeon AI PRO R9700(黄色)とGeForce RTX 5080(灰色)のAI処理性能を比べた図が以下。大規模言語モデル「Qwen 32B Q6」を処理する場合、Radeon AI PRO R9700はGeForce RTX 5080の5倍近くの性能を発揮します。

🚀 Radeon AI PRO R9700のスペック詳細
AMDが開発したRadeon AI PRO R9700は、以下のようなハイエンド仕様を誇ります:
項目 | 内容 |
---|---|
🧠 VRAM | 32GB GDDR6 |
💨 メモリ帯域幅 | 640GB/s |
🧱 アーキテクチャ | RDNA 4 |
🧮 コンピュートユニット数 | 64 |
🧠 AIアクセラレーター数 | 128 |
⚡ FP16演算性能 | 191 TFLOPS |
⚡ INT4演算性能 | 1531 TOPS |
この構成により、AI用途においてGeForce RTX 5080と比較して最大5倍以上の性能向上が実現されているとAMDは主張しています。特に、大規模言語モデル「Qwen 32B Q6」の処理においてその差が顕著です。
📅 発売日と入手方法、価格は?
Radeon AI PRO R9700を搭載したSIパートナー製ワークステーションは、2025年7月23日に発売開始。
一方、**単体GPUとしての販売は2025年第3四半期(7〜9月期)**を予定しています。
💸 価格については現在未発表ですが、数週間以内に正式アナウンスがある見込みです。
💡 なぜ今「AI特化型GPU」が注目されているのか?
2024年〜2025年にかけて、生成AIの需要が爆発的に拡大し、個人・法人問わずローカル実行環境のニーズが急増しています。
特にクリエイターや研究者、開発者にとっては、クラウドに依存せずにAIモデルを手元で実行できる環境がコスト面でもセキュリティ面でも望まれています。
そうした背景の中で、AMDが投入した「AI PRO」シリーズは、個人開発環境から企業のAIラボまでを幅広くカバーできるポテンシャルを持っており、市場からの注目が高まるのも当然といえるでしょう。
🆚 NVIDIAとの比較:今後のAI向けGPU競争の行方は?
NVIDIAも2025年に入り、AI特化型GPU「RTX PRO Blackwellシリーズ」や最大96GB VRAMのワークステーションGPUを発表しています。
また、個人向けAIスパコン「DGX Spark」など、ローカルAI開発市場における本格進出も進めています。
しかし、AMDはコストパフォーマンスやオープンなハードウェア設計で強みを持っており、「高性能かつ手の届くAI開発環境」という観点では大きな優位性を確保できる可能性があります。
🔚 まとめ:AMDのRadeon AI PRO R9700は「AI開発の未来」を変えるか?
Radeon AI PRO R9700は、AI時代における新しいスタンダードGPUの候補として非常に期待されている製品です。
今後の価格やパフォーマンスベンチマークの詳細次第では、プロ向けGPU市場の構図を変えるインパクトを持つかもしれません。
これからAI開発に参入しようとするクリエイター、企業、研究機関にとって、Radeon AI PRO R9700は最適な選択肢の1つとなることでしょう。