🍅 ガラパゴスの野生トマトが“先祖返り”で毒性アップ?

🍅 ガラパゴスの野生トマトが“先祖返り”で毒性アップ? #news
南米から渡来した祖先種がガラパゴス諸島で分化した野生トマト。 その一部が 「数百万年かけて捨てたはずの有毒アルカロイド(25R型)」 を再び合成していることが判明しました。

― 進化の常識を覆す「逆進化」の最新レポート


1️⃣ 何が起きた?──“若い島”のトマトに先祖の毒が復活

  • 発表誌:Nature Communications(2025年6月)
  • 研究機関:カリフォルニア大学リバーサイド校 ほか国際チーム

南米から渡来した祖先種がガラパゴス諸島で分化した野生トマト。
その一部が 「数百万年かけて捨てたはずの有毒アルカロイド(25R型)」 を再び合成していることが判明しました。研究陣はこの現象を**“逆進化(de‑evolution)”** と呼び、進化が一方向ではないことを示す好例だと指摘しています。

2️⃣ 毒のカギ🔑は酵素「GAME8」と立体化学

25S型(現代トマト等)25R型(ナス・先祖型)
主な産生種トマト・ジャガイモナス・※若い島のガラパゴストマト
毒性比較的低い高い(殺虫効果↑)
分岐の原因酵素 GAME8 の水酸化位置の差

GAME8 が コレステロール末端の“どちら側”を水酸化するか で 25S / 25R が分かれる。

🌋 若い島ほど“25R回帰”

  • 西側の新しい火山島: 25R型が高率
  • 東側の古い島: 25S型(従来型)のまま

👉 厳しい環境・捕食圧が「より強力な化学防御」を再選択させた可能性。

3️⃣ “逆進化”が示す進化の柔軟性

  • “失ったはず”の遺伝子機能が 再起動 する例は少数だが存在
  • 今回は 地理・生態系の差 が淘汰圧として働き、古い遺伝子経路が有利に

研究チームは「進化は常に前進ではなく、環境に応じて“過去の設計図”を使い回す こともある」と結論づけています。

4️⃣ 応用の可能性✨

  1. 低毒性作物の分子育種
    • GAME8 の活性部位改変 → アルカロイド量や立体型を制御
  2. 殺虫・抗菌天然物の新規創製
    • 25R型の強力な生物活性を医薬・農薬へ応用
  3. 環境適応型バイオデザイン
    • 過酷環境向けの作物・有用植物の設計指針に

5️⃣ まとめ📝

🔹 ガラパゴス諸島の若い火山島トマトは先祖型25Rアルカロイドを再び産生
🔹 立体化学を決める酵素 GAME8 の働きがキーポイント
🔹 環境圧に応じた 「逆進化」 が起こり得ることを実証
🔹 毒性制御=作物改良や創薬への応用ポテンシャル大

進化の“引き出し”は想像以上に多彩。
ガラパゴスの小さなトマトが、私たちの 食と医療の未来 に新たなヒントを与えてくれそうです。🍅🌎

🔗 参考文献・リンク

  • Nature Communications: Enzymatic twists evolved stereo‑divergent alkaloids in the Solanaceae family
  • Phys.org: Tomatoes in the Galápagos are quietly de‑evolving
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