― DNAが語る「ピラミッド創成期」のリアル
1️⃣ 研究ハイライト
項目 | 内容 |
---|---|
➡ 発表誌 | Nature(2025.6) |
➡ サンプル | BC 2855‑2570年ごろの男性遺骸〈NUE001〉 ナイル川沿い・ポット葬 |
➡ 主導機関 | リバプール・ジョン・ムーア大 & フランシス・クリック研究所ほか |
➡ 成果 | 古代エジプト人で初の“完全ヒトゲノム” 解読に成功 |
🌡️ 乾燥+ポット葬 → ミイラ化せずとも DNA が奇跡的に保存
🦷 永久歯 2 本から高品質 DNA を抽出

2️⃣ NUE001さんを“復元”してみた🧬
特徴 | 推定データ |
---|---|
性別 | 男性 |
年齢 | 44‑64 歳(当時としては高齢) |
身長 | 157‑160 cm |
目・髪 | 茶色系 |
肌色 | 濃褐色〜黒 |
職業推定 | 骨の摩耗 → 土器職人? |
健康 | 関節炎痕あり |

3️⃣ 祖先ルーツを解析🔍
約 80 %
🟢 北アフリカ新石器人系(≒ モロッコ中期新石器)
約 20 %
🟠 メソポタミア(肥沃な三日月地帯)系
📍 ピラミッド創成期までに 文化交流+人的往来 があった直接証拠に。
4️⃣ その後のエジプト人はどう変わった?
時代 | 追加された主要系統 | コメント |
---|---|---|
古王国(今回) | 北アフリカ/メソポタミア | ベースライン |
第三中間期 | レバント系↑ | 海陸交易・支配交代 |
現代 | レバント+東西アフリカ系 | 近世以降に混血が拡大 |
👉 多層ミックス が現代エジプト人ゲノムを形成。

5️⃣ 研究の意義&今後🚀
- 高温・乾燥地でも DNA 解析できる技術証明
- 古代エジプトの「人」の歴史 を遺伝学で解き明かす第一歩
- 多サンプル化により
- 支配王朝の交代
- ヒエログリフ拡散
- 交易ルートの実態
— などが“DNA 年表”で描ける可能性
🗣️ 研究陣
「今回は 1 体のみ。今後は王族ミイラや労働者墓地など、多様な層のゲノムが必要」

まとめ🔖
- 古王国期エジプト人の フルゲノム を“歯”から初解読
- ルーツは 北アフリカ×メソポタミア のハイブリッド
- DNA 技術が ピラミッド時代の人間ドラマ を現代に蘇らせる――
🏺 “石の文明” だけでなく “遺伝子の文明史” も、これから明らかになっていきます。
📚 参考文献
- Nature, “Whole‑genome ancestry of an Old Kingdom Egyptian” (2025)
- Nature News, First human genome from ancient Egypt sequenced…