イタリア通信規制当局「AGCOM」は、違法配信対策の一環として、Googleに対してパブリックDNSを無効化するよう法的措置を講じたと報じられました。背景には、同国サッカーリーグ「セリエA」などのスポーツコンテンツの違法ストリーミングが深刻な問題となっている現状があります。

🎥背景:サッカーの違法配信が蔓延、AGCOMが動く
長年にわたり、イタリア国内外では「セリエA」をはじめとするプロサッカーの違法ストリーミングが横行してきました。
これに対し、イタリアでは「Piracy Shield法」という強力な著作権保護法が制定され、違法配信サイトへの迅速なブロッキング措置が可能となっています。
しかし、AGCOMによると、Googleがこの法制度に十分に協力していないとして、ついに法廷闘争へと踏み切ることとなりました。

🧑⚖️裁判所命令:GoogleのDNSに「毒を盛る」よう命じる
AGCOMは、ミラノの裁判所に対し、以下のような内容で訴えを起こしました:
- GoogleはパブリックDNSを通じて違法配信へのアクセスを助長している
- AGCOMが提出した海賊版サイトリストのブロックに協力していない
- よってGoogleのDNSサーバー(例:8.8.8.8など)を即座に無効化するよう命じるべき
裁判所はこれを認め、DNSレベルでの即時遮断命令をGoogleに下しました。
🧠ちなみにこの手法は、「DNSキャッシュポイズニング(汚染)」や「スプーフィング」とも類似しており、ドメインとIPアドレスの結びつきを意図的に改変する手段です。

📵ドメイン全体がブロックされるリスクも…
このDNSブロッキング措置には、「行き過ぎた検閲だ」との懸念の声も上がっています。
たとえば:
🔒 2024年には、誰かがGoogleドライブを使って著作権侵害ファイルを共有したことが原因で、イタリアのISP全体がGoogleドライブを一時ブロックする事態が発生。
このように、合法なサービス全体が巻き込まれる恐れがあるのがDNSレベルの制裁の難点です。
🧑💼AGCOM側は「正義」と主張、LinkedInで裁判所の判断を称賛
AGCOMのコミッショナー、マッシミリアーノ・カピターニオ氏は、今回の裁判所の判断について以下のようにコメント:
「判事はAGCOMの調査の価値を認め、世界でも類を見ない著作権保護システムに再び正当性を与えた」
さらに、Googleがブロック対象リストを無視している点に言及し、「法律上、リスト掲載サイトは30分以内にブロックすべき」と批判しました。
☁️Cloudflareにも同様の裁定、VPNやCDNも標的に
実はGoogleだけでなく、Cloudflareも同様の標的となっています。
2025年1月、ミラノ裁判所は:
- CloudflareのCDN(コンテンツ配信ネットワーク)
- WARP VPNサービス
- パブリックDNS(1.1.1.1 など)
が著作権侵害を助長しているとして、サービスの遮断を命じました。
さらに、「対応を怠った場合、**1日あたり最大1万ユーロ(約160万円)**の罰金」が科される可能性もあると明言されています。
💬国際的な議論へ:「DNS無効化」は行き過ぎか?
GoogleやCloudflareのようなテクノロジー企業は、あくまで通信インフラの提供者であり、違法配信に直接関与しているわけではありません。
このため:
- サービス提供者への制裁がインターネットの中立性を損なうのではないか?
- DNS遮断は過剰な規制であり、言論の自由を脅かすのでは?
といった国際的な議論が活発化しています。
📌まとめ:GoogleのパブリックDNSはイタリアで遮断されるのか?
項目 | 内容 |
---|---|
🎯 問題の中心 | 海賊版サッカー配信(セリエAなど)の遮断 |
⚖ 法的手段 | Piracy Shield法に基づくDNS無効化命令 |
🚫 対象企業 | Google・Cloudflareなど |
🧨 リスク | 正常なサービスまで巻き込まれる可能性 |
💸 制裁措置 | ブロック怠ると1日1万ユーロの罰金(Cloudflare事例) |
Googleは今後、イタリア国内でDNS機能を一部制限せざるを得ない可能性があり、同様の動きが他国へ波及する可能性も否定できません。