YouTubeは2025年9月23日、新型コロナウイルスや選挙に関する「誤情報」ポリシーに基づいて過去にアカウント停止処分を受けたクリエイターに対し、復活の機会を与える方針を発表しました。
これは、すでに撤廃された過去のポリシーをもとにしたアカウント凍結が「再評価される」初の試みです。
同時に、Googleの親会社Alphabetの弁護士が「バイデン政権からYouTubeに圧力があった」と発言したことで、政治的な波紋も広がっています。

🧩 廃止済みポリシーに基づく停止チャンネルに「再チャンス」
YouTubeは声明で、「現在のポリシーに違反していないと判断される一部のクリエイターに対して、新しいチャンネルを開設するための申請を受け付ける」と発表しました。
“This will be a limited pilot project available to a subset of creators…”
(限定的なパイロットプロジェクトとして、一部のクリエイターを対象に実施します)
この措置は、すでに廃止された規制(たとえばCOVID-19関連の誤情報ポリシー)をもとにアカウント停止されたユーザーや、その他誤認処分を受けたクリエイターが対象になります。
YouTubeは「透明性と公正な機会の提供」を理由に挙げています。

🦠 コロナ禍で強化された「誤情報対策」──その背景とは?
YouTubeは2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、
「医療に関する誤った情報ポリシー」を制定。
ワクチンに関する陰謀論や、未承認の治療法を推奨する動画を削除するなど、厳格な対策を行っていました。
さらに2021年には、**「ワクチン誤情報ポリシー」**を発表。
保健当局の見解と異なる発言をしたクリエイターの動画は削除され、繰り返し違反すればアカウント停止となる厳しい運用が続きました。
しかし2023年以降、感染症の緊急性が下がったことを理由に、これらのポリシーは撤廃。
YouTubeは今後も「医学的に誤った情報」への対処を続けつつも、表現の自由と情報アクセスのバランスを取る方針を示しています。
🔁 新制度の概要:「復帰申請プログラム」とは?
2025年9月の発表では、YouTubeは新たに「リインステートメント・プログラム(再登録申請制度)」を導入。
過去に削除されたチャンネルのうち、現在のガイドラインに照らしても違反と判断されないケースに限り、再開を認めるという内容です。
対象となるのは以下のようなケースです👇
- ✅ 当時は違反とされたが、現在の基準では問題ない動画
- ✅ 医学的・政治的な議論を目的とした情報共有コンテンツ
- ✅ 削除当時の政策がすでに撤廃されたクリエイター
YouTubeは「これまで多くの問い合わせを受けていた」と述べ、クリエイター支援と信頼回復を目的にこの制度を設けたと説明しています。
⚖️ 「バイデン政権からの圧力」があった? Alphabet弁護士が証言
この発表の背景には、YouTubeを運営するAlphabet(Googleの親会社)への政治的圧力疑惑も関係しています。
Alphabetの弁護士ダニエル・ドノバン氏は、アメリカ下院司法委員会のジム・ジョーダン委員長に提出した陳述書の中で次のように述べています。
「YouTubeのポリシーに正式には違反していないCOVID-19関連動画を削除するよう、バイデン政権の高官らから圧力を受けた」
さらにドノバン氏は、
「いかなる政府も、民間企業のコンテンツモデレーションを指示してはならない」と強調。
政治的な雰囲気の中で削除判断が下された可能性があると示唆しました。
🏛️ 下院司法委員会も調査を開始 「検閲との戦いでの勝利」と主張
2025年3月、ジョーダン委員長はAlphabetに対して召喚状を発行し、
「YouTubeが政府の要請によりコンテンツを削除した証拠」を提出するよう要求していました。
その後、共和党側は今回の復帰措置を「検閲に対する勝利」と位置づけています。
ジョーダン氏は過去にMeta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグCEOが「ホワイトハウスの圧力に屈して検閲した」と認めた件を引き合いに出し、次のように投稿しています。
“This is another victory in the fight against censorship.”
(これは検閲との戦いにおけるもう一つの勝利だ)
共和党は長らく「政府によるビッグテックへの言論介入」を批判しており、今回のYouTubeの対応もその延長線上で注目されています。
🌐 規制と自由のはざまで──YouTubeが直面する新たな課題
今回の決定は、YouTubeが**「誤情報対策」と「言論の自由」**という二つの価値のバランスを再び問われていることを示しています。
特にパンデミック期のポリシーが「過剰だったのではないか」という議論が再燃しており、他のSNSプラットフォームにも影響が及ぶ可能性があります。
今後は、
- 政治的中立性の確保
- 表現の自由を守る運用基準
- 社会的責任を果たすモデレーション体制
といった点で、YouTubeの判断が再び世界中で注視されることになりそうです。
🧠 まとめ:YouTubeの「再出発」は新たな信頼回復への試金石
YouTubeの今回の発表は、過去の誤情報対策を再評価する試みであると同時に、
「プラットフォームとしての透明性・公正性を取り戻すための再出発」とも言えます。
🎬 過去に誤情報扱いで排除されたクリエイターが戻ってくる時代へ。
ただしその裏では、政治圧力と企業倫理のせめぎ合いという新たな課題も浮かび上がっています。
これからのYouTubeは、単なる動画共有サイトではなく、言論と民主主義の交差点としての役割がさらに問われることになるでしょう。

