──「WordPress を守るため WP Engine と争う決断を下した理由」
「WordPress への還元なき“利益だけ”のビジネスは認めない」
WP Engine との対立・訴訟の裏側を、マレンウェッグ氏本人が語る。

1️⃣ 何が起きたのか?
年月 | 出来事 |
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2024/09 | WordCamp US でマレンウェッグ氏が WP Engine を「WordPress の癌」と公然批判。 ・Automattic の貢献:週 3,900h ・WP Engine の貢献:週 40h |
~12/10 | Automattic が WP Engine に商標使用停止命令 ➜ WP Engine 反発・提訴。 裁判所は WP Engine への WordPress.org 更新ブロックを仮差し止め。 |
2025/06 | コミュニティ内訴訟が連鎖。サードパーティ顧客による集団訴訟も発生。 |

2️⃣ マレンウェッグ氏の主張 🗣
- フリーライダー問題 「5 億ドル近い売上を上げながら、WordPress コアへの投資は微々たるもの。
それで “公式っぽく” 振る舞うのは不誠実だ。」 - 機能無効化&ブランド混同 「顧客メリット名目で WordPress の重要機能を切り、あたかも公式ホスティングと誤認させている。」
- 商標は守る最後の盾 「OSS を収奪するビジネスからプロジェクトを守るには、商標とレポジトリ管理が不可欠。」

3️⃣ インタビュー要点(The Verge “Decoder”)💡
Q | A(要約) |
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決定は個人か組織か? | 「コミュニティと相談したチーム決定。ただし全責任は私。」 |
OSS なら “使われるのは宿命” では? | 「WordPress の活力を奪うレベルの脅威には立ち向かう。 大半の企業は問題ないが、今回のケースは一線を越えた。」 |
WordPress.org を“個人所有”発言の真意? | 「所有権の法的構造を説明しただけだが、誤解を招いた。 実際の運営は数万人の貢献で成り立つ。」 |
裁判は長引く? | 「和解できると楽観している。私はコードと製品に集中したい。」 |

4️⃣ コミュニティの論点 🔍
- OSS 還元ルールをどう設計するか?
- 時間・資金・コード・イベント協賛…“貢献”の尺度は?
- 商標と中央リポジトリの力学
- 誰がブロック権を握るべきか?「中立委員会」を設ける案も。
- ホスティング大手 vs. コア開発者の共存モデル
- 例:プラグイン売上の一定%を自動寄付する「FAIR Package Manager」構想。
5️⃣ 今後どうなる?🔮
- 司法判断へ:商標使用・ブロック権限の適法性が最大の争点。
- コミュニティ側:Linux Foundation 主導のパッケージ管理 “FAIR” に注目集まる。
- エコシステム全体:OSS プロジェクトが資金循環を強制せずに持続可能性を確保できるかが試金石。
💬 編集後記
マレンウェッグ氏は「OSS と商業のバランスを取るには時に“嫌われ役”も必要」と覚悟を示します。一方で、「中央集権的に映る決定」がコミュニティの信頼を揺らしたのも事実。
WordPress だけでなく、あらゆる OSS プロジェクトが抱えるジレンマがいま表面化しています。