「数日くらい寝不足でも大丈夫」──そう思っていませんか?
スウェーデン・ウプサラ大学の研究チームは、たった3日間の睡眠不足が、心血管疾患リスクに関わる血中タンパク質(炎症マーカー)を急増させることを明らかにしました。

🧪 研究の背景:睡眠不足と「血液の変化」
心疾患リスクを評価する際、血液中の炎症性タンパク質(例:インターロイキン6など)が重要なバイオマーカーとなります。これらは以下のような時に増加します:
- 体がストレスを感じている時
- 病気と闘っている時
- 慢性的な炎症や血管損傷
そして、睡眠不足はこれらのバイオマーカーに直接的な影響を与える可能性があると指摘されています。

📊 研究内容と方法
項目 | 内容 |
---|---|
対象 | 健康な標準体重の男性16人 |
グループ分け | ① 睡眠時間 8.5時間×3日 ② 睡眠時間 4.25時間×3日 |
採血タイミング | 朝と夜(3日間)+運動(エアロバイク30分)前後 |
測定項目 | 血中タンパク質 約90種 |
睡眠不足は心血管疾患のリスク要因として知られていますが、一般的に測定される血中の炎症性タンパク質濃度が、睡眠不足や身体運動などにどのような影響を受けるのかはよくわかっていませんでした。今回研究チームは、標準体重の健康な男性16人を被験者として募集し、「8.5時間睡眠を3日続ける」あるいは「4.25時間睡眠を3日続ける」という睡眠習慣に従ってもらいました。被験者からは朝と夜に血液サンプルが採取されたほか、3日の実験が終わった後に30分間エアロバイクをこいでもらい、その運動の前後でも血液サンプルが採取されました。

🔍 主な発見ポイント
🔥1. たった3日間の睡眠不足で炎症性タンパク質が急増
→ 心血管疾患に関係するタンパク質の濃度が明確に上昇
🧠2. 睡眠不足だと「運動してもタンパク質が増えにくい」
→ 通常は運動で増えるBDNF(脳神経成長因子)などの回復系タンパク質が反応しにくい
🌗3. 血中成分の変動タイミングにも影響
→ 朝と夜で濃度が大きく揺れ、リズムの乱れが強調

💬 専門家のコメント
「驚くべきことに、わずか3日間の寝不足でも若年層でこれほど変化が起こる」
ー アニー・カーティス准教授(アイルランド王立外科医学院)
約4人に1人がシフト勤務で睡眠不足を経験している今、この影響は無視できません。
⚠️ 健康への警鐘:特にこんな人は要注意!
- 🏃♀️ 運動しているのに効果が出にくい人
- 🩺 家族に心疾患の既往がある人
- 🌙 短時間睡眠が習慣化している人
「週末にまとめて寝ればOK」という考えは、血管にとっては通用しないかもしれません。
📝 まとめ
睡眠時間 | 炎症性タンパク質 | 回復タンパク質反応 | 心血管への影響 |
---|---|---|---|
8.5時間×3日 | 安定 | 正常に上昇 | 低リスク |
4.25時間×3日 | 上昇傾向あり | 鈍化 | リスク上昇 |
💡**「たった3日」で血液が変わる**という事実は、日々の睡眠を見直す大きなヒントです。