人工知能(AI)の進化が、またひとつ新たなステージに到達しました。 OpenAIが開発した最新の”実験的推論モデル(experimental reasoning LLM)”が、世界屈指の難関である国際数学オリンピック(IMO)2025において、金メダル相当のスコアを達成したと公式に発表されました。
さらに、OpenAIはGPT-5のリリースを近日中に予定していることを明らかにし、今後のAI進化に対する期待感が一層高まっています。

✨数学オリンピックで「AI」が金メダル級スコアを達成
国際数学オリンピック(IMO)は、各国の高校生が参加する世界的な数学競技大会です。2日間にわたり、各4時間30分で3問ずつ、計6問に挑戦し、その得点に応じて金・銀・銅メダルが授与されます。上位8%の得点者に金メダルが与えられるため、スコア基準は極めて厳格です。
OpenAIの実験的推論モデルは、人間の参加者とまったく同じ条件で評価されました。
- ツールやインターネットの使用禁止
- 問題は英語による公式フォーマット
- AI向けに加工された特殊入力形式なし
その結果、6問中5問の解答を生成し、合計35ポイントを獲得。これは、実際の金メダリストが得点する水準と一致するものでした。

🧑💻AIモデルの種類:数学特化ではなく汎用型
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、今回の実験モデルについて「数学専用に設計されたものではない」と明言しています。
このモデルは、**汎用的な論理推論力を持ったLLM(大規模言語モデル)**として開発されたものであり、「数学に限らず、AGI(汎用人工知能)への前進を示す成果」と語っています。
つまり、単なる数式処理だけでなく、人間のような論理的思考と自然言語による証明の生成に優れていることを意味します。

⏳GPT-5は「まもなく」登場、ただし今回のモデルのリリースは数カ月後
サム・アルトマン氏は次のようにも述べています:
GPT-5は近日中にリリース予定です。しかし、今回の実験的推論モデルが公開されるのは数カ月以上先になります。
つまり、GPT-5は間もなく登場するものの、数学金メダルレベルの推論性能を持つモデルの一般公開はもう少し先になるとのこと。
この戦略からも、OpenAIが慎重な検証と調整を重視している姿勢がうかがえます。
🔗Googleの「Gemini」も金メダル級AIを発表
なお、同様のチャレンジはGoogleも行っており、「強化版Gemini Deep Think」というAIモデルで同じく金メダル相当のスコアを達成したと発表しています。
Gemini Deep ThinkはGoogleのAGI戦略の一環として開発され、テスト期間を経た後に「Google AI Ultra」加入者向けに提供される見通しです。
⚡AI数学戦争:次世代LLMは“論理と思考”の時代へ
今回の成果は、ChatGPTやGeminiがただのチャットボットではなく、高度な知識理解と推論が可能な”知的エージェント”に進化しつつあることを示しています。
AIによる数学的推論の進歩は、教育、研究、科学、金融、エンジニアリング分野への応用可能性を大きく広げるものであり、今後数年で「AIに数学を教わる」時代が現実になるかもしれません。