アメリカの**下院特別委員会(米中戦略競争委員会)**は2025年10月、数カ月にわたる調査の結果を公表し、
東京エレクトロン(日本)、ASML(オランダ)、**KLA・ラムリサーチ・アプライドマテリアルズ(アメリカ)**などの企業が、
中国の半導体製造を実質的に支援していると強く批判しました。
📄 公式報告書:Selling the Forges of the Future(PDF)
📰 米下院特別委員会プレスリリース(英語)

💣アメリカの制裁下でも進む「中国への技術流出」
アメリカ政府はこれまで、中国への高性能半導体や製造装置の輸出制限を強化してきました。
その一方で、調査によるとアメリカおよび同盟国企業が、規制をすり抜けた形で製造機器や部品を中国に販売していたことが判明。
下院委員長のジョン・ムーレナー氏は声明で次のように非難しました。
「これらの企業は、中国共産党(CCP)が軍事的野心を拡大するために活用している装備を大量に供給している。
アメリカの国家安全保障を犠牲にして利益を追求しているのです。」
ムーレナー氏は、「このままではアメリカが技術覇権競争で敗北する可能性がある」と警鐘を鳴らしました。

🏭名指しされた主要メーカーと中国依存の実態
調査報告書では、中国との取引で多くの収益を得ている主要企業として、以下の5社が名指しされました:
- ASML(オランダ)
- 東京エレクトロン(日本)
- アプライドマテリアルズ(米国)
- KLA(米国)
- ラムリサーチ(米国)
委員会の分析によると、これら企業の中国依存度は以下の通りです。
| 企業名 | 中国からの収益割合 |
|---|---|
| 東京エレクトロン | 44% |
| ラムリサーチ | 42% |
| KLA | 41% |
| ASML / アプライドマテリアルズ | 36% |
特に東京エレクトロンについては、売上のほぼ半分が中国市場に依存していることが明らかとなりました。

🧠「規制の不一致」が招いた構造的問題
今回の事態の背景には、アメリカと同盟国の輸出規制のズレがあります。
委員会は、同盟国に対して以下の対策を求めました:
- 🇺🇸 アメリカの輸出規制と施行を同調させる
- ⚙️ 中国軍事関連組織への販売を全面禁止
- 🧩 中小企業の製造に必要な部品輸出も制限対象に含める
さらに、アメリカ国内の中小企業を支援し、半導体・AI分野における技術的リーダーシップを確保することを目標に掲げています。
筆頭委員のラジャ・クリシュナムーティ氏は次のように述べました。
「中国共産党に軍事チップを売ることも、人権を侵害する体制に協力することも意味がありません。
それを可能にする装置を売るのは、さらに理解しがたい行為です。」

📉報告後に株価が急落、各社のコメントは?
この報告を受けて、各半導体製造装置メーカーの株価は世界的に下落。
特に東京エレクトロンやASMLは取引初日に5〜8%安を記録しました。
東京エレクトロンのアメリカ法人社長マーク・ドハティ氏はロイターの取材に対し、
「規制の影響で中国の売上は減少傾向にありますが、日米の政策連携にはまだ課題があります。」
とコメント。
ASMLとKLAは「コメントを控える」と回答し、アプライドマテリアルズとラムリサーチは記事執筆時点で回答していません。
🧭AI・半導体覇権をめぐる対立激化
この調査報告は、アメリカが進める**「AIと半導体の技術覇権争い」**の一環でもあります。
ドナルド・トランプ大統領は、
「アメリカはAIで他国を圧倒している」
と強調する一方、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、
「中国はすでにAIの消費者分野でアメリカを上回っている」
と現実的な見解を示しました。
アメリカ議会では現在、AIチップ輸出を制限する新法案「GAIN AI法案」が審議中であり、
半導体メーカーや業界団体は**「過剰な規制は競争力を失わせる」**として強く反発しています。
🧩まとめ:グローバル企業に突きつけられた選択
今回の報告書は、アメリカだけでなく同盟国の企業にも国家安全保障と経済的利益の両立という難題を突きつけました。
下院特別委員会は最終的に、
「企業は中国を顧客ではなく、潜在的な脅威として見るべき時期に来ている」
と強調。
今後、各国がどのように輸出管理の歩調を合わせるかが、世界の半導体地図を大きく左右することになりそうです。

