2025年6月末、カナダ政府がアメリカIT企業に課す予定だった「デジタルサービス税(DST)」の撤回を発表しました。
背景には、アメリカのドナルド・トランプ大統領による**「貿易協議の全面打ち切り」宣言があり、カナダ側は米国との広範な貿易協定締結を優先する判断**を下した形です。

📌 そもそも「デジタルサービス税」とは?
💡 デジタルサービス税(DST)は、主にGoogle・Meta・Amazonなどの海外ITプラットフォームに課される税金で、
各国の「現地で稼いで納税していない」という懸念から導入が進んできました。
カナダは2024年にDST関連法を成立させ、2025年6月30日を納付期限に定めていました。
想定されていた税収はおよそ 30億ドル(約4350億円) にのぼるとされていました。

🇺🇸 トランプ大統領が猛反発「これはアメリカへの攻撃だ」
トランプ大統領はこの課税に対して次のように強く反発:
「カナダが我が国のテクノロジー企業にDSTを課すというのは、アメリカへの直接的で明確な攻撃だ。
EUがやっているから真似をしたのだろうが、我々はカナダとのすべての貿易協議を打ち切ることにした」
この発言により、カナダとの関係が一気に冷却化する危機が高まりました。

🇨🇦 カナダ政府は方針を転換「7月21日までに新貿易協定を目指す」
これを受け、カナダのフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ財務歳入大臣は次のように発表しました。
「アメリカとの包括的かつ互恵的な貿易協定の実現を優先し、デジタルサービス税の徴収を停止・法の廃止を決定しました。
カーニー首相とトランプ大統領は2025年7月21日までの合意を目指して交渉を再開します。」
📅 つまり、2025年6月30日に予定されていた徴収は中止され、関連法そのものも撤回される見込みです。

💬 アメリカ商務長官も歓迎のコメント
アメリカのハワード・ラトニック商務長官もX(旧Twitter)で以下のようにカナダの決断を歓迎:
「アメリカのイノベーションを妨げ、貿易協定の障害となるはずだったDSTの撤回に感謝します」
📎 投稿リンク:https://x.com/ratnick/status/…
🧠 背景と今後の見通し
この一件は、以下の点で国際貿易とデジタル政策の交差点を象徴しています:
- 🌍 各国がグローバルIT企業への課税強化を模索する中、大国との貿易圧力が政策を左右する
- 🇺🇸 トランプ政権は、経済的報復を用いた強硬な通商交渉を再び展開している
- 🤝 カナダ政府は短期の経済的利益よりも長期的な関係重視に軸足を置いた形
✍️ 総括
💡 今回の撤回は、カナダ政府の柔軟な姿勢と現実的な外交判断がもたらした結果と言えるでしょう。
ただし、IT企業への適正課税問題自体は解決しておらず、今後の国際的なルール形成に注目が集まります。