ダイエット飲料やノンシュガー食品に広く使われている「スクラロース」などのゼロカロリー甘味料は、一見健康的に思えるかもしれません。しかし、南カリフォルニア大学の最新研究によると、これらの人工甘味料が脳の食欲制御に悪影響を及ぼし、むしろ“より強い空腹感”を引き起こす可能性があることが明らかになりました。

🧠 甘味とカロリーの不一致が脳を“だます”
研究を主導したのは、内分泌学者のキャスリーン・アランナ・ペイジ博士率いるチーム。2025年3月に学術誌 Nature Metabolism に発表されたこの研究では、甘味料を摂取した後の脳の活動・ホルモン分泌・主観的な空腹度がどのように変化するのかを詳細に調査しました。
その結果、スクラロースの摂取は、脳がカロリー摂取を誤認識し、空腹感を増すという逆効果をもたらすことが判明。特に肥満の人や女性において、その影響は顕著でした。

🧪 研究方法:スクラロース・砂糖・水で徹底比較
実験には18歳〜35歳の健康体重・肥満・太り気味の男女計75名が参加。各参加者は以下の3種の飲料をランダムな順番で摂取し、それぞれの影響を比較されました:
- 🍒 チェリー味の砂糖入り飲料(ショ糖300ml)
- 🍒 チェリー味のスクラロース入り飲料(カロリーゼロ)
- 💧 水(300ml)
摂取前後には血糖値・インスリン・GLP-1といったホルモンの測定、ならびにfMRIによる脳スキャンが行われ、視床下部(食欲を司る脳の中枢)の活動を分析しました。
🔍 主要な結果:スクラロースは「空腹信号」を強める?
実験で得られた主な結果は以下のとおりです。
- ✅ 砂糖を摂取した場合:血糖値とホルモン(インスリン、GLP-1など)が上昇し、空腹感は抑制された。
- ❌ スクラロースを摂取した場合:血糖値・ホルモンともに変化なし。逆に空腹感が増大。
- 🧠 視床下部の活動:スクラロース摂取後に活発化し、「もっと食べたい」という欲求が強まった。
ペイジ博士は、「身体は“甘い”と感じるとカロリー摂取を予測してホルモンを出します。しかしスクラロースではその予測が裏切られ、脳が混乱し空腹感が増幅する可能性がある」と述べています。
⚠️ 特に肥満者・女性に強い反応
興味深いのは、肥満体型の被験者における反応が特に強かった点です。スクラロース摂取後の視床下部の活動量は、健康体重の被験者と比べて有意に高く、甘味に対する脳の過敏性が伺えます。
また、女性は男性よりもスクラロース摂取後の脳活動の変化が大きいことが確認され、性差も重要な要因である可能性が示唆されました。
📚 なぜゼロカロリーなのに太る?
スクラロースは、砂糖(ショ糖)の約600倍の甘さを持ちながらカロリーはゼロ。つまり、「甘味のシグナルはあるのにエネルギーは入ってこない」という“感覚と現実のギャップ”が脳に生じるのです。
このミスマッチにより、「甘いもの=満足感」が崩れ、結果的にもっと食べたくなる──という悪循環に陥ると、研究者たちは分析しています。
とりわけ脳がまだ発達段階にある子どもや若年層にとっては、こうした反応の積み重ねが将来的な食行動の偏りに繋がる可能性があるとして、研究チームは継続的な調査を進めています。
💬 ペイジ博士の警鐘:「“ゼロカロリー”は魔法の言葉ではない」
ペイジ博士は以下のように警告します。
「甘味に反応した身体がカロリーを期待しているのに、実際は得られない。この落差が脳を混乱させ、食欲の制御回路を長期的に変化させる恐れがあります。」
つまり、ゼロカロリーだからといって無制限に摂取すれば健康に良いとは限らないということです。
📝 関連研究・報告例
- 🥤 ダイエット飲料と空腹感増大の関連(GIGAZINE)
- 🧬 アスパルテームの血管障害リスク(ScienceDirect)
- 👶 甘味料の影響が子どもに及ぶ可能性(ネズミ実験)
- 🌍 WHOの報告「人工甘味料はむしろ糖尿病リスクを高める」
これらの報告はいずれも、人工甘味料が「単なる砂糖の代替品」ではないことを示唆しており、私たちの食品選択に対して再考を促す重要な材料です。
🔚 まとめ:ゼロカロリーでも「脳が空腹」になる時代
ノンカロリー・ノンシュガーという言葉は一見すると「健康的」に聞こえますが、その裏には脳内で起きる誤認識と生理反応のズレという課題が潜んでいます。
とくにダイエットを目的として人工甘味料を日常的に摂取している方にとっては、「なぜかお腹が空く」「甘いものが止まらない」といった経験が、この研究結果と深く関わっている可能性があるのです。