SNSやニュースアプリで連日目にする、戦争・事故・災害などの悲惨なニュース。
無意識のうちに次々と情報を追ってしまうこの行動は、**「ドゥームスクローリング(doomscrolling)」**と呼ばれ、現代人のメンタルヘルスに深刻な悪影響を及ぼすことが知られています。
この記事では、オーストラリア・モナシュ大学の専門研究員、レザ・シャバハン博士のアドバイスをもとに、ニュースとうまく付き合いながら、心の健康を守るための実践的な方法をご紹介します。

⚠️悪いニュースを見続けることの“脳”への影響とは?
人間の脳は、「危険に反応する」ように進化してきたため、ネガティブな情報に強く反応する傾向があります。
つまり、悲惨なニュースを何度も見続けることで、脳が過剰に刺激され、ストレスホルモンの分泌が増加し、精神が消耗していくのです。
▼よくある症状
- ✔️ 不安感や焦燥感の増大
- ✔️ 睡眠障害やフラッシュバック
- ✔️ 理由のないイライラや絶望感
- ✔️ 食欲不振、体調不良、胃痛
特に、身近な人が戦争や災害の地域にいる場合、無理にでも情報を追ってしまうことがあり、心がさらに追い込まれる悪循環に陥ります。

📲なぜ人は「ドゥームスクローリング」をやめられないのか?
多くの人は、「ネガティブな気分になるからもう見ない」と割り切れません。
実際の研究でも、ネガティブな感情がオンラインニュース消費をむしろ加速させることが確認されています。
また、「今起きていることを知ることは道義的責任」と感じる人も少なくありません。
ニュースを完全に遮断することが現実的でない今、重要なのは**“注意深く向き合う”こと**なのです。

🌿ニュースから離れる間にできる“心のリセット法”
- 👥 信頼できる人との会話
- 🌳 散歩・ガーデニングなど自然との接触
- 🎨 創作活動(絵、編み物、日記など)
- 📚 読書や瞑想などの静かな時間
ニュースを見ることは大切ですが、“自分を守る”ことはもっと大切です。
感情が安定すれば、また冷静に現実と向き合える力が戻ってきます。

🚨こんな症状が出たら「休憩のサイン」かも
シャバハン博士によると、以下のような状態になったら、ニュースとの距離を置くべきタイミングです。
- 📌 ニュースを見るのがやめられない
- 📌 無力感や無気力が続く
- 📌 イライラ・怒りっぽくなる
- 📌 集中力の低下
- 📌 倦怠感・疲労が抜けない
- 📌 胃の不調や吐き気
- 📌 睡眠の質が著しく悪化
- 📌 無意識の“パニック買い”や浪費行動
こうした兆候があれば、数分~数日間のデジタルデトックスを試みましょう。

🧘♀️専門家がすすめる「メンタルを守る6つのステップ」
① 深呼吸して“今の自分”を確認する
ニュースを開く前に、まず立ち止まり深呼吸を数回。
身体の緊張や心のざわつきを感じ取ることで、自分の状態を客観視できます。
② 今の自分に“受け止める余裕”があるか確認
疲れていたり、大切な予定を控えていたり、不安を感じている時は、悪いニュースの影響を受けやすくなります。
そんなときは一時的に距離を置く勇気も大切です。
③ “なぜ今これを読むのか”動機を意識する
ただの習慣や惰性でスクロールしていませんか?
「この情報で何を知りたいのか」「行動に結びつく内容か」を意識することで、不要な情報摂取を避けられます。
④ 情報の質と信頼性を確認する
センセーショナルな見出しや、出所が不明な情報に惑わされないように、**批判的思考(クリティカルシンキング)**を持ちましょう。
信頼できる媒体か、裏付けはあるかを確認する癖が重要です。
⑤ ストレス反応に気づく
呼吸の浅さ、発汗、気分の揺れ、不快感――
そうした身体の変化に気づいたら、**それは心が“休憩を求めているサイン”**です。
⑥ 一つのニュースごとに“整理する時間”を取る
読んだ直後に次へ行かず、受け取った情報を自分の中で整理する時間を持ちましょう。
「どう感じたか?」「読む目的は果たされたか?」と自問することで、情報疲れを防げます。
✍️まとめ:情報に飲まれず「主導権を持つ姿勢」が鍵
- 悪いニュースは脳を過剰に刺激し、精神疲労を招く
- 完全遮断ではなく「注意深く接する」ことが理想
- 自分の感情・体調に気づき、距離を調整する
- 情報を批判的に読み取り、自分で“選ぶ”意識を持つ
ニュースを“消費する”だけでなく、“意味ある知識として吸収する”ためにも、自分を守る意識が必要不可欠です。
あなたの心を守れるのは、あなた自身です。