睡眠中に無意識に性行為してしまう「セクソムニア」とは?

睡眠中に無意識に性行為してしまう「セクソムニア」とは? #ニュース・社会・コラム
睡眠中に無意識に性行為を行う「セクソムニア」とは?

睡眠中に無意識に性行為を行う「セクソムニア」とは?

セクソムニア(sexsomnia) は、睡眠障害の一種であり、睡眠中に無意識のうちに性行為や性的な接触、自慰行為などを行う現象です。この症状は当人に自覚がないため、当事者も気づかずに長期間過ごしてしまうこともあります。

2013年に更新された「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」にも正式に追加され、研究が進められている障害です。セクソムニアは、アルコール摂取、強いストレス、睡眠不足、薬物の副作用 などが引き金となると報告されています。

セクソムニアの法的問題

セクソムニアは法廷でも注目されるテーマになっており、性的暴行事件などで「無意識下で行為に及んだ」という理由から被告が無罪を主張するケースも存在します。

2025年1月、オーストラリアでは「女性に対して同意のない性行為を行った」として起訴された男性に対し、セクソムニアが原因だった という弁護が採用され、無罪判決が言い渡されました。裁判では男性が本当に意識を失った状態だったのかが争点となりました。

また、オーストラリア以外の法的見解も注目されています。カナダでは、セクソムニアを精神障害と認定 しており、完全な無罪判決は認められず、被告人は精神衛生審査の対象となります。

セクソムニアが法的弁護に使われる問題点

オーストラリア・シドニー大学で法学を研究するクリストファー・ラッジ氏は、セクソムニアが法廷で弁護材料として使用されることについて次のように述べています。

「深刻で暴力的な性的暴行事件でセクソムニアを主張するケースが増えていることは懸念すべきです。さらなる研究と注意が必要です。」

セクソムニアは、現在「精神の一時的な機能不全」として扱われることが多いものの、完全に精神障害として扱うべきかどうかについては意見が分かれています。2022年にはオーストラリアでセクソムニアを「精神障害」として認める裁判も行われましたが、「睡眠中の行為は意思を伴わない」として精神障害の範疇には含まれないとの結論に至りました。

セクソムニアが及ぼす影響と今後の課題

セクソムニアの影響は、個人の精神的負担だけでなく、人間関係の破綻や法的トラブルにもつながる 可能性があります。

報告件数が116件 に留まっているものの、恥ずかしさから医療機関への相談を避ける人も多く、実際の患者数はこれ以上に多いと考えられます。

専門家の意見と対策

現在の医療と法的対応には課題が多いため、クリストファー・ラッジ氏は以下の点を指摘しています。

  • さらなる研究の必要性:正確な診断方法や治療法の開発が急務
  • 患者と社会の認識向上:相談しやすい環境の整備
  • 法的な一貫性:セクソムニアに関する国際的な法整備

まとめ

セクソムニアは未解明な部分が多い睡眠障害ですが、社会的影響は小さくありません。適切な診断と治療が普及することで、患者が安心して生活できる環境を作ることが必要です。また、法的側面についても、さらなる議論と対応が期待されます。

セクソムニアの疑いがある場合の対処方法

  • 医療機関(特に睡眠外来)への相談
  • アルコールやカフェインの摂取制限
  • 睡眠環境の見直し

社会全体で正しい理解を進めることが、被害者や患者にとって大切なステップとなるでしょう。

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