2025年4月17日、アメリカの連邦地方裁判所がGoogleの広告技術ビジネスが独占禁止法に違反しているとの判決を下しました。この裁判は、アメリカ連邦政府および17の州がGoogleを提訴していた注目の訴訟で、判決次第ではGoogleの広告ビジネスが大きく変わる可能性がある重要な出来事です。

🏛️ 何が問題視されたのか?
裁判を担当したのはバージニア州アレクサンドリアのレオニー・ブリンケマ連邦地方裁判所判事。判事は以下の2つの市場においてGoogleの独占的行為が確認されたと述べています。
- パブリッシャー向け広告サーバー市場
- 広告売買プラットフォーム(アドエクスチェンジ)市場
具体的には、Googleが提供する広告技術製品(Ad Manager、DoubleClick for Publishers、AdXなど)を組み合わせ、自社の広告エコシステム内にパブリッシャーを囲い込む仕組みを構築していたとされます。
これにより、他社の広告プラットフォームが公平に競争できない構造が生まれ、結果として市場の競争が阻害されたと判断されました。
🔍 訴訟の焦点は3つの広告市場
本件は、以下の3市場におけるGoogleの支配が問題とされました:
- パブリッシャー向け市場(例:ニュースサイトなどが広告を表示するためのツール)
- 広告主向け市場(例:企業が広告枠を購入する仕組み)
- 広告売買プラットフォーム(上記2者を仲介するシステム)
今回の判決では、広告主向け市場に関しては「独占状態ではない」とされましたが、その他の2市場では「Googleが意図的に支配を維持していた」と認定されました。

💬 Googleの反応「半分勝利」も控訴へ
Googleの法務・政策部門バイスプレジデント、リー=アン・マルホランド氏は次のようにコメントしています:
「我々はこの訴訟で半分勝利し、残りの部分については控訴します。裁判所は、当社の広告主向けツールやDoubleClickの買収が競争を阻害していないと認めました。ただし、パブリッシャー向けのツールに関する判断には同意できません。」
Googleは広告主がGoogleを選ぶ理由として、**「シンプル・低価格・高性能」**という要素を挙げています。
⚖️ 今後の影響:広告部門の分割もあり得る?
この判決により、アメリカ司法省がかねてより示唆していた**Google広告部門の「分社化」または「分割」**という選択肢が現実味を帯びてきました。
実際にテック系メディアのTechCrunchは、「今回の判決がGoogle広告帝国の解体につながる可能性がある」と報じています。
📉 過去にも複数の独禁法違反判決
Googleはこの数年、アメリカ国内外で独占禁止法違反を問われてきました。たとえば:
- 2024年8月:スマートフォン検索市場で地位を維持するために他社へ支払いを行っていた件で、コロンビア特別区の連邦地裁から「独占」と判定。
- 日本公正取引委員会:Googleが自社製品を優遇することで不当な競争をしていると認定し、排除措置命令を発出。
🌐 なぜこのニュースは重要なのか?
Googleはインターネット広告の分野で、世界の約30%以上のシェアを持つとされる巨大企業です。その影響力は、中小のニュースサイトや広告主、ひいては私たちユーザーにも及んでいます。
今回の判決は、巨大プラットフォーム企業の力に対する司法のチェック機能が働いていることを象徴する出来事です。
今後の控訴審、そして広告部門の構造見直しにどう影響するか、注目が集まります。
📌 まとめ
Googleがオンライン広告分野で独占的地位を維持しているとして、アメリカの連邦地裁が違法と判断。Googleは一部勝訴と主張しつつも、判決の一部に控訴する方針を表明。巨大テック企業への規制が今後どう進むか、大きな分岐点となる可能性があります。