アメリカで新たな海賊版サイトブロッキング法案「FADPA」提出
2025年1月、アメリカのゾーイ・ロフグレン下院議員は、新たな法案「外国デジタル海賊版対策法(FADPA)」を提出しました。この法案は、アメリカ国外で運営されている海賊版サイトへのアクセスを効果的にブロックするための新しい仕組みを提案しています。同時に、これまでのブロッキング法が抱える「検閲」や「サービス提供者の責任」に関する問題を緩和することを目指しています。
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法案の内容と目的
FADPAは、著作権者や排他的ライセンシー(権利者)が、アメリカ国内のインターネットサービスプロバイダー(ISP)やDNSリゾルバに対して海賊版サイトへのアクセスをブロックするよう求める「予備的命令」を連邦地裁に申し立てることを可能にする法案です。この予備的命令には以下の特徴があります。
- リスク評価の実施
裁判所は、命令が非著作権侵害コンテンツへのアクセスを妨害するリスクや、サービス提供者への過剰な負担をかける可能性を評価します。 - 外国のサイトへの通知と反論の機会
外国の海賊版サイトの運営者は、命令を受けた日から30日以内に裁判所に出頭し、反論する権利があります。反論がない場合、裁判所は申立人の主張を審査し、問題があると判断されれば命令が出されます。 - 緊急時の即時対応
スポーツイベントやライブコンサートのように緊急性が高い場合には、裁判所は即座にブロッキング命令を出すことができます。
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法案の範囲と影響
対象となるサイトとサービス
FADPAでは、以下のように対象を限定しています。
- 海賊版サイトの定義
主に著作権侵害を目的として運営されているサイトで、その他の商業的な用途がほとんどないもの。 - 対象となるサービス提供者
加入者数10万人以上のISP、または年間売上1億ドル以上のDNSサービスを提供する企業(例:Google、Cloudflare)。
サービス提供者への影響
新たな法案では、サービス提供者に一定の免責を与えています。裁判所命令に従う限り、サービス提供者は責任を免除されます。また、検閲を防ぐために透明性を確保し、裁判所命令は一般に公開されることが義務付けられています。
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FADPAの支持者と批判
支持する団体と企業
FADPAは、エンターテインメント業界の大手企業や団体から支持されています。
- 支持者
モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)、ソニー・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・スタジオ、Netflixなど。 - 理由
知的財産権の保護と、海賊版コンテンツによる収益損失の防止を目的としています。
批判と懸念
一方で、消費者権利団体や一部の批評家は以下のような懸念を示しています。
- 検閲のリスク
サイトブロッキングが言論の自由を脅かす可能性。 - VPNの抜け道
アメリカ国内でのアクセスはブロックされても、VPNを使用することで規制を回避できる点。
ゾーイ・ロフグレン議員のコメント
ロフグレン議員は、これまでのブロッキング法案には反対していましたが、FADPAについては「安全性と知的財産を重視しつつ、言論の自由を尊重する賢明なアプローチ」とコメントしています。この法案は、オープンなインターネットを維持しながら海賊版サイトへの対応を進めるためのバランスを目指しています。
まとめ
FADPAは、アメリカ国内から外国の海賊版サイトへのアクセスを効果的に制限することを目的としています。この法案が成立すれば、著作権侵害に対する新たな対応手段が提供される一方で、言論の自由や検閲に関する議論も継続することが予想されます。
今後の議会での動向に注目が集まります。
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