地球環境の悪化は、もはや「自然愛護」や「健康被害」の枠を超え、国家安全保障にも重大な影響を与える要因になっていると、複数の専門家が警告しています。
森林伐採、生態系の崩壊、気候変動……こうした環境問題が引き起こすのは、地球の未来に対する不安だけではありません。それは、経済、外交、地域紛争、公衆衛生、そして国際的な犯罪にもつながり、国そのものの安定を揺るがすリスクになっているのです。
🐟海の資源争いが引き金に？「魚」が原因で起きた国家間の紛争
生態系破壊が引き起こす国際的な摩擦の代表例が、「海洋漁業」問題です。
- 🇮🇸 アイスランド vs イギリス：「タラ戦争（1958〜1976）」では、領海の拡張と漁業権を巡り、両国が3度も対立。これが**排他的経済水域（EEZ）**のきっかけに。
- 🇨🇳 中国 vs インドネシア：2016年、インドネシアは自国の漁業資源を荒らす中国漁船40隻以上を爆破処分するという強硬策をとりました。
- 🌊 太平洋の混乱：現在もアメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・イギリスが協力して違法漁業の取り締まりを行っていますが、中国の活動が原因で衝突が頻発。
- 🌍 南米・アフリカ沿岸：中国の巨大漁船団が資源を枯渇させ、地域の政情不安を引き起こす事例も出ています。
こうした現象は、食料資源の争奪が、軍事衝突や外交危機につながるリスクがあることを示しています。
🦠ウイルスのリスクも環境破壊が原因？人獣共通感染症の脅威
環境破壊は、感染症のリスクをも増加させます。
- 人間と野生動物との接触が増えることで、**新型コロナウイルス（COVID-19）のような人獣共通感染症（ズーノーシス）**の発生リスクが急上昇。
- 実際、新型コロナの感染源は、野生動物市場とされており、生態系の乱れがパンデミックの引き金となりました。
- 森林伐採や都市拡張により、ウイルスを媒介する動物が人間の居住地に近づきやすくなっているのも要因です。
🔬 ウイルスの脅威は、国家安全保障の視点でも深刻に捉える必要があります。
🌲環境犯罪の資金がテロに流れる？自然破壊の裏に潜む闇市場
違法伐採、密猟、野生動物の取引など、環境を破壊する行為は単なる道徳的問題にとどまりません。
🌐 環境犯罪は年間2580億ドル（約38兆円）規模の巨大マーケットとされ、以下のような構造があります。
- 🐘 絶滅危惧種の象牙や角、剥製が高額で闇取引
- 🔫 テロ組織や麻薬カルテルがその資金を利用
- 🌳 違法伐採が武装勢力の収入源になるケースも
このように、環境破壊は国際的な治安やテロ対策の面からも看過できないリスクなのです。
🛡️国家の安全は「自然との共生」から生まれる
ペンシルベニア州立大学の生態系科学・管理学教授であるブラッドリー・J・カルディナーレ氏は、次のように指摘します。
「国家安全保障は軍事力だけの話ではありません。生産的で安定した生態系、回復力のある生物群、そして天然資源への持続可能なアクセスが不可欠です。自然は、社会や政治の安定においても、決定的に重要な役割を果たしているのです。」
🌱 自然環境を守ることは、平和を守ることにも直結します。
🌐 自然を守ることが、安全な未来を守る第一歩です。環境問題は「エコ」の枠を超え、国家の存続にも関わるテーマなのです。
