――マレーシア電力会社が直面する深刻なエネルギー犯罪の実態
仮想通貨の価格上昇とともに、世界各地で問題化しているのが違法な仮想通貨マイニングです。
マレーシアでは、国営電力会社 テナガ・ナショナル・ベルハド(TNB) が、
この5年間で1700億円以上もの電力を盗まれていたことが明らかになりました。
これは単なる料金未払いではなく、**メーター改竄や不正接続による「電力盗難」**という、れっきとした犯罪です。
⚡ 被害総額は45億7000万リンギット──想像を超える規模
ロイター通信などの報道によると、TNBが把握している被害額は、
- 45億7000万リンギット
- 日本円換算で約1740億円
に達しています。
この損失は、2020年から2025年8月までの約5年間にわたって発生したものです。
TNBはこの期間に、
👉 違法マイニングを行っていた施設13万827カ所
を特定したとしています。

🏗️ マレーシアではマイニング自体は違法ではない
重要なポイントとして、マレーシアでは、
- 仮想通貨マイニングそのもの
は違法ではありません。
問題となっているのは、
電力供給法 に違反する行為です。
違法とされる行為
- 電力メーターの改竄
- メーターを迂回する不正接続
- 契約外の電力使用
つまり、「大量の電力を使うこと」ではなく、
**「電気を盗むこと」**が処罰対象なのです。

🚨 なぜ仮想通貨マイニングで電力盗難が起きるのか?
仮想通貨マイニング、とりわけビットコインは、
- 高性能GPUやASICを
- 24時間フル稼働
させるため、膨大な電力コストがかかります。
電力料金が上昇する局面では、
- 正規に電気代を払う → 採算が合わない
- 不正に電力を確保する → 利益が出る
という歪んだインセンティブが生まれます。
特に、
- 倉庫
- 空き店舗
- 住宅地
にマイニング機器を設置し、
外見上は目立たない形で電力を盗むケースが多いとされています。

👮 共同作戦で摘発、設備を大量押収
マレーシアの
エネルギー移行・水資源転換省 によると、
TNBは以下の機関と連携し、違法マイニングの取り締まりを行っています。
- 警察
- 通信規制当局
- 反贈収賄当局
この共同作戦により、
- 不正接続されたマイニング設備の押収
- 施設の閉鎖
- 関係者の摘発
が進められています。
📊 違法マイニング摘発は「爆発的に増加」
統計を見ると、問題の深刻さが一層明確になります。
- 2018年:610件
- 2024年:2397件
👉 約4倍に急増
特に2020年以降、
ビットコイン価格の上昇とともに
違法マイニングが急増したとされています。
🗂️ TNBが構築した「違法マイニング・データベース」
TNBは対策の一環として、
- 違法マイニングに関与した
- 施設
- 所有者
- 利用者
の完全な記録を保存するデータベースを構築しました。
これにより、
- 再犯防止
- 他地域での横断的摘発
- 電力盗難の早期検知
を目指しています。
🌍 世界的に広がる「マイニング×電力問題」
この問題はマレーシアに限りません。
他国の動き
- ロシア:
電力不足地域でマイニングを2031年まで禁止 - 中国:
大規模マイニングを事実上排除 - 欧州各国:
電力負荷・環境負担を理由に規制強化
一方で、
ビットコイン価格は2024年以降急騰しており、
利益を求めた地下マイニングは今後も増える可能性があります。
🔐 電力盗難は「被害者なき犯罪」ではない
電力盗難は一見すると、
- 電力会社だけが損をする
ように見えます。
しかし実際には、
- 正規利用者の電気料金上昇
- 送電網への過負荷
- 火災リスクの増大
- 国家インフラの不安定化
といった形で、社会全体に影響を及ぼします。
📝 まとめ:仮想通貨ブームの影で拡大するエネルギー犯罪
マレーシアで明らかになった
1700億円超の電力盗難は、
- 仮想通貨マイニング
- 電力価格
- エネルギー安全保障
が密接に結びついていることを示しています。
今後も仮想通貨市場が活況を呈する限り、
違法マイニングと電力盗難の戦いは続くでしょう。
問われているのは、
👉 価格高騰への短期対策だけでなく
👉 エネルギーとデジタル経済をどう両立させるか
という、より大きな課題なのです。
