❤️なぜ「炎症」はコレステロールよりも心臓病の強力な予測因子なのか?

❤️なぜ「炎症」はコレステロールよりも心臓病の強力な予測因子なのか? #news
近年、心臓病予防の常識が大きく変わりつつあります。 これまで心臓病のリスクといえば「コレステロール」が主役でしたが、最新の研究では**「炎症(inflammation)」がより強力な予測因子**であることが明らかになっています。

近年、心臓病予防の常識が大きく変わりつつあります。
これまで心臓病のリスクといえば「コレステロール」が主役でしたが、最新の研究では**「炎症(inflammation)」がより強力な予測因子**であることが明らかになっています。

米国心臓病学会(ACC)は2025年9月、炎症を示すバイオマーカーの普遍的なスクリーニング(全員検査)を推奨する声明を発表しました。
さらに、健康アプリ開発者であるブランドン・バリンジャー氏も「なぜ炎症がコレステロールを超える指標となったのか」を解説しています。

👉 JACC: Inflammation and Cardiovascular Disease (2025 ACC Scientific Statement)
👉 Empirical Health: Inflammation now predicts heart disease more strongly than cholesterol

🧬炎症は「隠れた心臓病リスク」だった

これまで、医療現場では「高LDL(悪玉)コレステロール」や「高血圧」「喫煙」「糖尿病」などが、いわゆる**標準的なリスク因子(SMuRFs)**として扱われてきました。

しかし、慢性的な炎症が動脈硬化や血管障害を引き起こし、心臓病発症に深く関係していることは以前から指摘されていました。
それでも長らく「炎症」は主要リスクとして公式には扱われていませんでした。

2025年9月、ACCはついに方針を転換。
炎症を示す血液マーカーである**高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)**が、
心臓病を最も強力に予測するバイオマーカーのひとつ」であると正式に認めたのです。

🔬ACCが推奨する「hs-CRP検査」とは?

hs-CRP(高感度C反応性タンパク質)は、体内の炎症状態を反映する物質で、わずかな炎症でも上昇します。
ACCは声明の中で次のように述べています。

「臨床医は、測定できないものを治療することはできません。
一次予防および二次予防のすべての患者に対し、hs-CRPの測定を普遍的に実施することを推奨します。
コレステロール検査と組み合わせることで、重要な臨床的機会が得られます。」

つまり、これからの心臓病対策は、
「コレステロール+炎症」の二軸管理がスタンダードになるということです。

📊コレステロールよりも「炎症」が優れている理由

ブランドン・バリンジャー氏は、次のように説明しています。

「hs-CRPによる炎症の測定は、LDLコレステロールよりも心臓病発症を正確に予測できます。」

実際のデータを比較すると、

  • hs-CRP値が高い人ほど、将来的に心臓病を発症する確率が高い
  • 同じ人たちをLDL値で分類した場合よりも、hs-CRPのほうが発症パターンを明確に分けられる

という結果が示されています。

これは、炎症が単に結果ではなく、発症プロセスそのものに関与していることを意味しています。

💊コレステロールの“成功の罠”:スタチンの影響

コレステロール指標が一部で信頼性を失ってきた理由には、薬物治療の普及があります。

多くの患者が「スタチン」と呼ばれるコレステロール低下薬を服用しており、
血液検査ではLDL値が低下していても、炎症や血管損傷のリスクが残っている場合があります。

そのため、
コレステロール値が正常でも心臓病を発症した」というケースが増加。
この背景から、炎症マーカーであるhs-CRPがより包括的なリスク把握に有効だと考えられています。

🧠炎症を抑えることで心臓を守る

炎症を引き起こす要因は、生活習慣に密接に関係しています。
以下の習慣は、hs-CRPを上昇させる代表的な要因です。

  • 🚬 喫煙・過度な飲酒
  • 🍟 トランス脂肪酸や超加工食品の摂取
  • 😴 睡眠不足・慢性的ストレス
  • 🧂 高血糖・肥満・高塩分食

逆に、炎症を抑える生活習慣としては、以下が推奨されています。

  • 🥦 抗炎症作用のある食材(オメガ3脂肪酸、野菜、果物)
  • 🚶‍♀️ 定期的な運動
  • 🧘‍♂️ 睡眠とメンタルケアの改善

コレステロールを下げるだけでなく、**「炎症を下げる生活」**が新たな健康目標となりつつあります。

❤️まとめ:「炎症」は心臓病予防の新たなカギ

最新の研究と声明により、**「炎症=心臓病の根本的なリスク要因」**という認識が広がり始めています。

コレステロール対策だけに頼る時代は終わり、
これからは炎症レベル(hs-CRP)を測ることが予防医療の新しいスタンダードになるでしょう。

心臓病を遠ざけるためには、
「数値を下げる」よりも「体内の炎症を静める」ことこそが重要なのです。


📚参考文献

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