オンラインサービスが世界規模で展開する今、「すべての国で同じ価格」という仕組みはもう過去のものです。
実際、Netflix や YouTube Premium などの大手サービスは、地域ごとに価格を変える「地域別価格(Regional Pricing)」を採用しています。
今回は、人気オンラインチェスプラットフォーム 「Chess.com」 の実例をもとに、地域別価格の実態とその経済的な背景を探ります。♟️

💡 なぜ「地域別価格設定」が必要なのか?
企業の最終目標は「利益の最大化」です。
そのためには、「価格 × 販売量」のバランスを取ることが極めて重要になります。
価格が高すぎれば購買意欲が下がり、低すぎれば利益が減ります。
さらに、世界では国ごとに 購買力・税金・物流コスト・為替 が異なるため、
「全世界で同一価格」というのは現実的ではありません。
☕ たとえば、同じブランドのコーヒーが
- アメリカでは 4ドル(約600円)
- インドでは 1.69ドル(約257円)
といった具合に、大きな価格差が生まれるのです。

📱 有名サービスでも採用される「地域別価格」
地域別価格は、実は私たちの身近なサービスにも広く採用されています。
| サービス名 | 日本での料金 | 他国との比較 |
|---|---|---|
| YouTube Premium | 月額1280円 | タイ:約691円 🇹🇭 / インドネシア:約553円 🇮🇩 / スイス:約2697円 🇨🇭 |
| Netflix / Spotify / Disney+ | 各国で異なる価格体系 | 各国の所得水準・税制・為替レートを反映 |
📉 つまり、世界的なサブスクリプションサービスでも、
「その国の人が払えるちょうどいい価格」を設定することが常識になっています。

♟️ Chess.comが採用する地域別価格戦略
ソフトウェアエンジニアの モー・ベイギ氏 は、オンラインチェスサービス Chess.com の価格を世界126か国で調査しました。
結果、IPアドレスを変更することで、国ごとにプレミアムプランの料金が大きく異なることが判明。
Chess.comには以下のプランがあります👇
- 🪙 ゴールド
- 💎 プラチナ
- 🔷 ダイヤモンド
それぞれに「月額プラン」と「年額プラン」があり、地域によって価格が変化します。

🌍 国別の価格差:ナイジェリア vs デンマークで14倍の差
ベイギ氏の調査によると、Chess.comの「ゴールド会員(月額)」では、
- 最安:ナイジェリア 0.67ドル(約102円)
- 最高:デンマーク 9.42ドル(約1435円)
となっており、およそ14倍の価格差 が存在します。
さらに、「ゴールド会員(年額)」では
- 最安:ナイジェリア 3.10ドル(約472円)
- 最高:アイルランド 65.19ドル(約9900円)
と、21倍の差 に広がっています。
これは、地域の平均所得や購買力を考慮して価格を最適化した結果です。

Friends&Familyプランの「国境制限」も注目ポイント
Chess.comでは「Friends&Familyプラン」を使うと、1つのプレミアムアカウントを最大6人で共有できます。
しかし、この共有には地域制限があります。
- 調査対象126か国のうち、47か国のみが「国境を越えた利用が可能」
- 79か国では「同一国内のみ利用可」
特に価格が高い国では、国境を越えた共有が許可されていますが、
日本のように比較的安価な国では 国内限定 に制限されています。
📍日本の順位は世界で77位。
アメリカ基準と比べると、約22%安い 価格設定になっていました。
📊 地域別価格がもたらすビジネス上の利点
1️⃣ 購買力に合わせた柔軟な価格で市場拡大
→ 新興国でも加入者数を増やし、グローバルで安定した収益を確保。
2️⃣ ユーザーごとの価格最適化
→ VPN利用による不正アクセスを防ぎつつ、公平な価格体系を維持。
3️⃣ ブランドのグローバル展開を促進
→ 「高すぎる」「安すぎる」という印象を地域ごとにコントロール可能。
🚀 まとめ:「地域別価格」は世界戦略の必須スキル
| 観点 | 解説 |
|---|---|
| 💰 目的 | 各国の購買力に応じた最適価格で利益を最大化 |
| 🌎 対象企業 | Netflix、YouTube、Spotify、Chess.comなど |
| 📊 効果 | 世界的なユーザー拡大と継続課金率の向上 |
| ⚠️ 注意点 | VPN・国境越え利用への対策が必要 |
Chess.comの事例は、「地域別価格設定=グローバル成功の鍵」であることを見事に示しています。
単に為替変換ではなく、その国の“払える価値”を見極めることが、現代の国際ビジネスには欠かせない戦略なのです。🌐

