ドナルド・トランプ大統領が就任直後に打ち出した
「政府の無駄をなくすための究極の改革」――。
その名も 政府効率化省(Department of Government Efficiency:DOGE)。
当初は「AIによる行政改革」「税金の削減」などが掲げられ、
国民に歓迎される改革のはずでした。
しかし実態は、政府機関の混乱・職員の離職・AIツールの誤作動と、
まさに“行政版カオス”。
📉 200人以上の連邦職員が「DOGEの内実」を証言したWIREDの調査が、
アメリカで大きな波紋を呼んでいます。
📰 出典:The story of DOGE, as told by federal workers – WIRED via Hacker News

🏛️ 「政府効率化省(DOGE)」とは?──AIと削減を掲げた“トランプ流”新省庁
トランプ大統領が2025年1月に新設したDOGEは、
「行政の無駄を徹底的に削減する」ことを目的に発足。
そのトップに就いたのが、当時トランプ政権と蜜月関係にあった
**イーロン・マスク氏(Tesla・X CEO)**でした。
AIを駆使した政策分析、支出削減、職員の効率化など、
“スマートガバメント”を目指したプロジェクトとしてスタートしましたが――。

⚙️ 現場は大混乱:「DOGEはまるで災害だった」
WIREDが200人以上の職員を取材したところ、
ほぼ全員が「DOGEによる混乱」を証言しています。
💬 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の職員はこう語ります。
「DOGEは自然災害ではありません。
ただ、書類を抱えた混乱した職員たちが右往左往し、
背後からイーロン・マスクがチェーンソーを持って現れるのではと怯えていたのです。」
また、アメリカ平和研究所の元セキュリティ責任者
コリン・オブライエン氏はこう証言。
「DOGEとの最初にして唯一の会合は30分のオンライン会議でした。
しかしDOGE側はカメラを一切オンにせず、
誰と話しているのかも分からないまま終わったのです。」
透明性を掲げていたDOGEが、
実際には匿名のAI担当者と音声だけで議論を行っていたという指摘もあります。

🧻 現場の証言:紙が尽き、人が泣き、上司が消えた
取材では、笑えないような“惨状”が数多く報告されました。
- 👶 出勤命令で子どもを預けられず辞職した母親職員
「DOGEの改革で在宅勤務が禁止され、泣く泣く退職しました。」 - 🚽 トイレットペーパーが切れた政府オフィス
「経費削減でクレジットカードに上限が設けられ、
5カ月間、職員がトイレットペーパーを持参していました。」 - 🔒 上司が突然“連れ出される”事件も
「DOGEの方針に異議を唱えたベテラン上司が、
ある朝突然、警備員に連れ出されました。」
まさに、**AIによる効率化どころか“現場崩壊”**を招いた形です。

🤖 AIツールの暴走と“間違いだらけの成果報告”
DOGEが医療契約の見直しに使っていたAIツールは、
「エラーだらけで誤判定を連発」していたことも判明しています。
さらに、「政府支出を8兆円削減した」と発表した成果報告書には、
過大評価や単純な計算ミスが多数含まれていたと
専門家が指摘しました。
AI導入による“改革の象徴”が、
実際には制度の信頼性を揺るがす原因となっていたのです。
⚡ トランプとマスク、蜜月から対立へ
当初はトランプ政権の「改革の顔」として協力していたマスク氏。
しかし、わずか4カ月後の2025年5月、
彼は政権との決裂を宣言します。
以降、両者の関係は完全に崩壊。
- トランプ:「イーロンは狂ってしまった」
- マスク:「トランプは“エプスタインファイル”に名前がある」
両者はSNS上で互いを非難し合い、
最終的にはトランプ氏がマスク氏の国外追放を示唆するまでに発展しました。
📚 関連:トランプ大統領がイーロン・マスクの国外追放を示唆 – GIGAZINE
💬 政府職員の声:「DOGEは改革ではなく、支配の実験だった」
Hacker News上でも、DOGEに関する議論は炎上状態。
あるユーザーは、DOGEの問題をこう指摘しています。
「DOGEの本当の問題は、“政府改革”ではない。
世界一の富豪がアメリカ連邦政府の一部を“私物化”したことだ。」
さらに別のユーザーは、こう疑問を投げかけました。
「もしこれがマスクではなく、ジョージ・ソロスやビル・ゲイツだったとしても、
あなたは同じように支持しますか?」
DOGEを通じて浮かび上がったのは、
**“テクノロジーと政治権力の融合がもたらす危険性”**でした。
🧭 教訓:効率化より「民主的プロセス」を
DOGEは当初、「AIで政府を効率化する」という理念を掲げていました。
しかし、蓋を開けてみれば
“スピードと成果”の名のもとに、透明性と人間性が失われただけでした。
一方で、同じくテクノロジーによる行政改革を進めてきた
アメリカ合衆国デジタルサービス(USDS)は、
**“人間中心の改革モデル”**として再評価されています。
🔗 U.S. Digital Service Founding Archive – Interviews
🧩 まとめ:「DOGEの教訓」は未来のAI政策にも通じる
DOGEがもたらしたのは、
「AIによる効率化の幻想」と「権力の集中による危険性」。
この事例は、今後のAI政策・ガバナンス議論にも
重要な警鐘を鳴らす出来事といえます。
💡 “テクノロジーは政府を強くするのではなく、人を補うものである”
――200人の職員の証言は、私たちにそう語りかけています。

