レストランやカフェなど、周囲の騒音が気になって相手の声がうまく聞き取れなかった…そんな経験はありませんか?
実は、そんな時に「指をリズミカルにトントンとたたく」だけで、驚くほど会話の内容が聞き取りやすくなるという研究結果が、2025年4月に英国王立協会紀要B(Proceedings of the Royal Society B)に発表されました。

📚 研究の概要:「音」と「動き」が脳内で連携している?
この研究を行ったのは、フランスのエクス=マルセイユ大学の神経科学チーム。
彼らは、「人が音声を聴き取る際に、運動(体の動き)がどのように関係するのか?」を調べるために、ノイズの中での音声認識実験を複数行いました。
🔬実験1:タッピングが理解力を向上させる⁉️
まず35人の被験者に、バックグラウンドノイズが流れる中で、誰かが文章を読み上げる録音音声を聞かせました。
被験者たちは4つの異なるビート(速い・中程度・遅い・自分の好きなペース)に合わせて 指をタッピング(トントンと机などをたたく) しながら聞くよう指示されました。また、一部のグループはタッピングせずに聞く対照群として設定されました。

✅ その結果──
中程度のビート(約1秒間に2回)でタッピングしたグループは、明らかに多くの単語を正確に聞き取れるようになっていた のです。
このリズムは、文章内の単語のテンポとほぼ一致しており、「身体のリズムが脳内の音声処理を助けている」ことが示唆されました。

👂実験2:「聞くだけ」では効果が薄い
次に行われたのは、「ビートを聞くだけ」と「実際にタッピングする」の違いを検証する実験。
結果は明白でした。
ビートを耳で聞いただけの人たちは、聴き取り能力の向上がほとんど見られなかった のです。
このことから、「リズムを体で刻む=能動的な動き」が、脳の処理に重要であると確認されました。

🗣️実験3:音声を発するだけでも効果あり⁉️
最後の実験では、28人の参加者に「ノイズ混じりの文章を聴く前に、ランダムな単語を一言発する」というタスクを与えました。
その結果、文章とは無関係な単語であっても、発声後の聴き取り能力が向上 する傾向が見られました。
研究チームは「体の動きや音声の発声が、感覚処理にポジティブな影響を及ぼす」と結論づけています。
💡まとめ:騒がしい場所では「タッピング」を試そう!
この研究を通じて分かったこと:
- 🧠 指をリズムよくタップすることで、脳が音声に同調しやすくなる
- 🎵 特に1秒間に2回のテンポが効果的
- 🗣️ 発声も聴覚処理を助ける可能性がある
科学メディア Science Alert もこの研究に注目し、「デート中に周囲がうるさい時は、さりげなくテーブルの下で指をトントンしてみるのがおすすめ」とコメントしています✨
🔗参考文献・関連リンク
- Moving rhythmically can facilitate naturalistic speech perception in a noisy environment | Proceedings of the Royal Society B
- This Simple Trick Could Help You Hear Better in a Noisy Room | ScienceAlert
- Finger tapping rhythm boosts speech comprehension in noisy environments | New Atlas