デジタル学習の先進国として知られるスウェーデンが、教育分野において大きな方向転換を始めています。📚💡
これまでタブレットや電子教材を活用してきた同国ですが、近年の子どもたちの読解力の低下を受けて、紙の教科書と手書き中心の学習スタイルに戻る計画が進行中です。

📉 PIRLSスコアの低下が警鐘に
国際読解力調査(PIRLS)のデータによると、スウェーデンの小学4年生の読解力スコアは以下のように変化しています:
- 🟢 2016年:555点
- 🔴 2021年:544点(11点低下)
それでも世界平均より高い水準ではありますが、他国が向上する中でのスコア低下は教育当局にとって深刻な問題となっています。
スウェーデンの読解力低下の背景には以下の要因が挙げられています:
- 新型コロナウイルスによる学習環境の混乱
- スウェーデン語を母語としない移民生徒の増加
- 教育現場の過度なデジタル化 📱➡️📉

🧑🏫 教育大臣がデジタル学習に「待った」
2023年8月、スウェーデンのロッタ・エドホルム教育大臣は、保育園でのタブレット使用を義務付ける方針を撤回すると発表。
次のように明言しました:
「スウェーデンの学生にはもっと教科書が必要です。物理的な本は学習にとって重要です」
また、6歳未満の児童に対するデジタル学習の全面廃止も検討されています。

🧠 科学的根拠:デジタルより紙が有効?
スウェーデンの名門「カロリンスカ研究所」も次のような声明を出しています:
「デジタルツールは学習を促進するのではなく、むしろ妨げるという明確な証拠が存在します」
さらに、正確性が不明なオンライン情報ではなく、「紙の教科書+教師の専門知識」に戻るべきだと警鐘を鳴らしています。
国際機関のユネスコも、テクノロジーの導入はあくまで補助的であるべきとし、「教師主導の対面教育の重要性」を強調しています。

🏫 現場の声:子どもたちも「紙が好き」
ストックホルムに住む9歳のリヴォン・パーマーくんはこう話しています:
「学校では紙に書く方が好きだよ。その方が気分がいいからね」
その担任であるブラネリウス先生も、以下のように語ります:
「タブレットは算数では使いますが、文章の授業では使いません。10歳未満の子どもにはまず手書きの経験が必要です」
💰 教科書購入に約100億円の予算
スウェーデン政府は、教育現場のアナログ回帰を進めるため、**小学校向けに6億8500万クローナ(約100億円)**の書籍購入予算を確保。
今後は紙の教科書の配備がさらに進められる見通しです。
⚖️ テクノロジーとのバランスも議論に
とはいえ、デジタル化を全面否定するわけではありません。
オーストラリア・モナシュ大学のニール・セルウィン教授はこう述べています:
「テクノロジーに批判的な姿勢は保守派の政治家に人気ですが、何が有効かの明確な証拠はまだ不足しているのが実情です」
つまり、完全なアナログ回帰が最適解とは限らず、今後はアナログとデジタルのバランスがカギになると考えられます。
✍️ まとめ:教育に“戻る勇気”を持ったスウェーデン
スウェーデンは一度進めたデジタル化を見直し、子どもの学習にとって本当に効果的な方法は何かを問い直しています。
- デジタル教材 → 紙の教科書 📱➡️📖
- タブレット学習 → 手書き練習 ✏️
- 情報の即時検索 → 教師との対話 🧑🏫
テクノロジー一辺倒ではなく、「子どものために何が一番良いのか?」という原点に立ち返るスウェーデンの教育改革から、私たちも学べることがありそうです。
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