スイスで「海賊版ダウンロードは合法」 著作権法改正案が可決
スイス議会は2019年9月16日、著作権法の改正案を可決しました。この改正案は、海賊版コンテンツの取り締まりを強化する一方で、個人による海賊版コンテンツのダウンロードを合法とする内容を含んでいます。この決定はEUの厳しい著作権規制とは対照的であり、国内外で賛否が分かれています。
改正案の主な内容:ダウンロードは合法、アップロードは禁止
新たなスイスの著作権法改正案では、以下の点が大きな特徴です:
- 個人による海賊版のダウンロードは合法
違法な配信サイトから個人ユーザーが映画や音楽の海賊版をダウンロードする行為については、処罰の対象外とされました。これは、「ダウンロードされたコンテンツが商業目的で利用されない限り問題ない」というスイス独自の見解に基づいています。 - 違法なアップロードは引き続き禁止
海賊版をインターネット上にアップロードする行為は依然として違法であり、厳しい罰則が科されます。 - 海賊版サイトのブロッキングは実施せず
EU諸国で広く行われているサイトブロッキング(違法サイトへのアクセス制限)をスイスでは採用していません。インターネットサービスプロバイダ(ISP)にブロッキングの義務は課されていないため、海賊版サイトへのアクセスが容易に可能な状態が続いています。 - ホスティングプロバイダへの削除義務
スイス国内に拠点を持つホスティングプロバイダには、サーバー上の違法コンテンツを削除する義務が課されました。この措置により、一定の法執行力が確保されていますが、オンラインプラットフォーム自体が著作権侵害コンテンツを事前に監視する義務は設けられていません。
背景:EUの規制強化とスイスの独自路線
スイスの著作権法改正案は、EUが進める厳格な著作権規制とは大きく異なります。EUでは、著作権指令の改正によりインターネット上の著作権侵害取り締まりが強化され、違法コンテンツのアップロードやダウンロードが厳しく規制されています。
一方で、スイスはEU非加盟国であるため、独自の法律を策定する権限を持っています。過去には、米国通商代表部(USTR)から「スイスは海賊版サイトにとって非常に魅力的な国である」と批判されることもありました。それでも今回の改正案では、ユーザーの利便性を重視する姿勢が見られます。
改正案に対する批判と擁護の声
批判:
- 手ぬるい規制
改正案では、アップロードされたコンテンツが著作権で保護されているかどうかをプラットフォーム側で事前チェックする義務がないため、「スイスは著作権保護が甘い」との批判が根強いです。 - 海賊版の温床化の懸念
サイトブロッキングが実施されないため、スイスが違法コンテンツの「天国」となる可能性が指摘されています。
擁護:
- ユーザーの自由を尊重
個人的なダウンロードを処罰対象外とすることで、技術的進歩やインターネットの自由を重視する姿勢が評価されています。 - ホスティングプロバイダへの責任強化
サーバー管理者への削除義務を導入した点は、法執行力をある程度高めたとして肯定的に捉えられています。
今後の影響と仮想通貨業界への関係
今回のスイスの著作権法改正案は、国際社会における「著作権のあり方」を再考させる契機となりそうです。特にEU諸国や米国と比較して規制が緩いことから、今後さらに国際的な議論が深まると予想されます。
まとめ
スイスの著作権法改正案は、個人による海賊版ダウンロードを合法とすることで、EU諸国や米国とは異なるアプローチを示しました。一方で、違法アップロードや海賊版のホスティングに対する対策も強化しており、スイス独自のバランスを追求しています。この動きが国内外でどのように評価され、影響を及ぼすか、注目が集まります。
関連リンク:
- Parliament gives green light for anti-piracy legislation – SWI swissinfo.ch
- Swiss Copyright Law: Downloading Stays Legal, No Site Blocking – TorrentFreak
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