中央アジアの独裁国家・トルクメニスタンでは、インターネットが厳しく制限されています。しかし、その検閲は単なる統制にとどまらず、**国民から利益を吸い上げる「国家主導の恐喝ビジネス」**に変貌していると指摘されています。
匿名通信システム「Tor」プロジェクトの公式ブログは、現地のサイバーセキュリティ当局が 高額VPNサービスを国民に販売する仕組み を作り出していると解説しました。

「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれる国 🌍
- 人口:約600万人
- 旧ソ連から1991年に独立
- 報道の自由度ランキング:180カ国中174位(2025年、国境なき記者団)
政府は腐敗まみれで、綿花畑での児童労働や女性への服装規制といった人権侵害も横行。
活動家は国外追放や暗殺未遂に直面し、国際社会からも「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれています。

インターネットは徹底的にブロック 📵
トルクメニスタンでは、YouTube・Facebook・Instagram・TikTok・Telegramなど主要SNSやメッセージアプリがすべてブロック。
- 2013年に「報道検閲禁止法」が制定されたが、形だけ
- 国営または権力者一族が通信セクターを独占
- インターネット遮断による損害は GDPの約8% に相当
2022年の調査では、18万件超のブロックルール と 12万件超のドメイン遮断 が確認されました。

検閲官が「VPN販売業者」に転身 💰
Turkmen.newsの報道によれば、検閲を担当する政府職員が裏でVPNやIP解除サービスを販売。
- 月額VPNキー:約 50ドル(7,300円)
- 全フィルター解除プラン:約 2,000ドル(29万円)
利用者はYouTubeやSNSにアクセスできるが、音楽・映像配信は制限されるケースも。
つまり、**「アクセスをブロックする者」が同時に「解除キーを売る者」**でもあるという矛盾が存在しています。

「インターネット恩赦」とその終焉 ⏳
2024年半ば、一時的にブロックが解除され「インターネット恩赦」と呼ばれる期間がありました。
- TorやVPNも利用可能に
- 市民からは喜びの声
しかし同年12月には再び制限が復活し、2025年4月までに「灰色VPNビジネス」も完全復活しました。
Torプロジェクトの指摘 🛡️
Torは公式ブログでこう強調しています。
「他国で『サイバーセキュリティ』と呼ばれるものは、トルクメニスタンでは正反対です。監視と統制を口実に、国民を搾取する収益モデルを作り出しているのです」
これは単なる検閲ではなく、国家ぐるみの汚職スキーム。
検閲官が密売人に変わり、国民の自由を制限しながら金銭を巻き上げているのです。
まとめ 📝
- トルクメニスタンは極端なネット検閲を実施
- しかし裏では当局が 高額VPNを販売し利益化
- 国民は自由を奪われただけでなく、「自由の鍵」を買わされるという二重の負担に直面
この事実は、検閲国家がどのように市民をコントロールし、経済的にも搾取しているのかを示す象徴的な事例といえるでしょう。

